『 阿仁・森吉を訪ねて 』

『緑の研修生レポート』&『緑の研修生ニュース』の取材に便乗して、秋田県の阿仁・森吉に行ってきました。「現場を見たい!」という私のリクエストにお応え頂いてのことです。加えて、阿仁・森吉といえば直木賞受賞作『邂逅の森』(熊谷達也著)の舞台になったところ。この小説にはまった私としては、雪山で熊と死闘を繰り広げたマタギの気配を感じるべく、大いに楽しみにして向かったのですが、今年の気象はやはり異常だったらしく、 12 月も半ばだというのに 1 ミリの雪も積もっていませんでした。とはいえ、時折はらはらと粉雪の舞い降りてくる中、天然の秋田杉の森に案内していただきました。

トトロの森1号池 樹高が 50 メートルを越え、太いものでは胸高直径が 2 メートル以上の巨木もある森には荘厳な空気が漂っており、伊勢神宮の森を思い出しました。この森の中では、冗談かと思うくらい人が小さく見えます。ちなみに、林野庁「森の巨人たち百選」に選ばれている「コブ杉」もこの森にあるんですよ。

天に向かってすっくと伸びた梢を見上げながら地元秋田県の森林組合の方が語ってくださったことには、天然杉は枝打ちをしないそうです。みなさんは、ご存知でしたか?時期がくれば下枝は自然に落下するため、木の内部にも無理な負担がかからず、その結果、「天然杉には節がない」のだそうです。これには驚きました。人間に例えて言うなら、カサブタを無理にはがすと痕が残ってしまうけれど、自然にはがれるのを待てばきれいになるようなものでしょうか。また、天然杉は年輪が密に重なっているため、材としての価値も高いのだとか。
溜池の管理作業

「時満ちれば自然にものごとがスムーズにいく」。これはきっと、人生でも同じですね。研修生のみなさんにも、それぞれ夢があると思いますが、なかなか一朝一夕で叶うものではないでしょう。けれど、地道な一日一日を重ねていくことで、いつしか無理なく夢が現実になる日が来るに違いありません。そうやって積み重ねた毎日は、みなさんの中で密な年輪のように確かな「底力」となって、蓄えられていくことでしょう。今回のインタビューの中で、指導員の方が「人を育てるには時間がかかる」と話されるのを聞いて、人も木も同じだなあと感じました。真夏の下草刈りでへとへとになったり、ハチに刺されたり、しんどいこともたくさんあると思いますが、まずはプロのフォレスター目指して一日一日を大切に重ねていってくださいね。私も応援しています!がんばれ、緑の研修生! !


◎葛城奈海の近況報告:名古屋と大阪で開催された「森林の仕事ガイダンス」に出席。「緑の研修生」たちとのトークショーの司会を務める。その間をぬって秋田県の阿仁・森吉へ。西へ東への多忙な毎日でした。2005年1月21日(金)・22日(土)に東京・新宿NSビルで開かれる「森林の仕事ガイダンス」でも研修生とのトークショーに出演します。入場無料ですので、ぜひご来場下さい。 また、雑誌『山と渓谷』の2005年1月号から、年間の表紙モデル&特集レポートを担当します。本屋さんで見かけたら手にとってみてください!

葛城奈海さんのホームページ  http://www.katsuragi-nami.com