『 道なき道を行きながら…… 』

トトロの森1号池この秋、5年ぶりにアドベンチャーレースに出場しました。アドベンチャーレースというのは、トレイルラン・マウンテンバイク・カヌーなど動力なしの方法で海山川を行くチームスポーツです。大会によって多少の差はあるものの1チームは大体3名程度で、必ず最低ひとりは女性を含まなければなりません。 今回出場したのは、谷川岳山麓の水上を舞台にした「里山アドベンチャーレース」。その最初のステージとなったのが、谷川岳山頂「トマの耳」までの往復でした。道なき道を行かなければならないところもあり、ちゃんと地図とコンパスを読んでいないチームは、あっという間に森の中をあさっての方向に消えていってしまいます。倒木を跨ぎ、枝をかき分けながら、薮をこぎます。道のない尾根上では、雪の重みでかしいだのであろう細い木々が、これでもかというくらいに次から次へと行く手を阻みます。手は長袖とグローブ、足はタイツで覆われていますが、剥き出しになっている顔面には、避けきれない細かな枝葉がぴしぴしとあたります。一瞬も気の抜けない状況で、かき分けたり跨いだりくぐったりを繰り返すうち、その疲労感を楽しみながらも、「道があるってありがたいことなんだな」と思い始めている自分に気付きました。


溜池の管理作業

理由はわかりませんが、子どもの頃から「道なき道を行く」のが私の夢でした。だから、アドベンチャーレースを始めてその夢がかなったときには興奮しました。自分が風になり、また野生動物になったような気分がしたのです。動力なんか使わなくたって、知恵と体力をフル活用すれば、人って意外とやるもんじゃない!と思い、呼び覚まされた「野性」ともいうべき感覚を楽しみながら、一方で、人のありがたさも実感しました。道を作ってくれるのも人、困ったときに助けあえる仲間も人、迷ったときに出会った見ず知らずの、でもそこにいるだけで安堵感を与えてくれた存在も人……。


溜池の管理作業アドベンチャーレースに限らず、山や海といった自然に分け入っていくのは、大いなる自然そのものと、その中で野生的な感覚に回帰していく自分、その双方を感じたいからなのでしょう。大自然の前にさらされたとき、人は己のちっぽけさを知ります。そして、ふだんはありがたさを感じることもなく過ごしている身の回りの存在、水や家、道、そして時に煩わしい存在にも思える「人」にさえも感謝と愛着の念が湧き上がってきます。こうしたことは、森で働くみなさんも、きっと多かれ少なかれ体験しているのではないかと思います。 自然の中で人は、大きいけれど小さい、小さいけれど大きい自らを再認識できるのでしょう。大きさを教えられ、小ささを教えられ、なぜかそのどちらからも根源的なところで勇気づけられ、エネルギー与えられる、……語らずとも教え、励ましてくれる「大いなるもの」に抱かれたくて、人はまたその懐に帰っていくのかもしれません。 レース結果は7位とまずまずでしたが、結果以上の充足感を得た久々のアドベンチャーレース出場でした。

葛城奈海さんのホームページ  http://www.katsuragi-nami.com