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葛城奈海の木もれ日の部屋

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岩手の魅力、再発見の旅 2007.JAN
11月下旬、『MIDORI PRESS』の取材で岩手の久慈を訪ねました。まず、ご挨拶に伺ったのは、久慈地方森林組合。おもしろいことに、この森林組合は海辺にありました。漁協が入り江の奥にあることから、「漁協よりも海に近い森林組合」なんだそうです。その内装が、ちょっと見慣れない材でできていました。これまで訪れた各地の森林組合では杉を使っているところが多かったのですが、ここでは特産の赤松を使用しているとのこと。全国的に猛威を振うマツクイムシが、県南と青森からひたひたと迫ってくる中、未だに元気な天然の赤松が育つ久慈は、島のように残された貴重な地域なんだそうです。
森林組合のすぐそばに漁港がありました。
荒涼とした山頂の皆伐現場。
あまりのかわいさに携帯の待ち受け画像にした萌芽ちゃん。
西郷隆盛似の清水組合長によると、近年よく耳にする「米松(ベイマツ)」は、そもそもこの赤松と特性が似ていることから代替材として輸入されるようになったものだとか。「それが、今では『赤松は米松の代替だ』なんて言われるから、それは逆だって怒るんです」と、笑いながら教えてくださいました。(実は私、自衛隊の掃海艇の取材で米松が大量に使われていることを目のあたりにしたばかりだったので、身につまされるお話でした)また、森林組合の建物には半端じゃない量の炭が使われていました。「防虫、防湿、防化学物質、防電磁波に効果がある」として、床下には、なんと6トンもの炭を入れたそうです。いやはや、やることがなんとも独創的かつ豪快です。そんなこんなで組合の建物と組合長のお話しに惹き込まれて始まった岩手取材では、新鮮な驚きがたくさんありました。
取材する研修生が作業していたのは、寒風吹き荒ぶ禿山でした。正直に言うと、遠目には、羽根をむしられた鳥の皮のような山肌に、少々ショックを受けていました。ところが、間近で見ると、切り株のあちこちから愛らしい芽が吹き、それが赤や黄色に紅葉した絵本のような光景が広がっているではありませんか!聞けば、このあたり一帯は広葉樹を40年ほどの周期で天然更新させているそうです。広葉樹は切り株さえ残しておけば、そこから出た萌芽がどんどん成長するため、針葉樹のように植林する必要がありません。「一見荒涼たる風景に見えても、焼畑のようにそれで終わってしまうのではなく、木の成長する周期に合わせて順繰りにエリアを循環させながら再生していく、これまた自然と共生してきた日本人の知恵なんだよ」と以前学んだ記憶が蘇り、今まさにその光景の中に自分が立っていることに心が動かされました。
左からオニグルミ、ヤマザクラ、トチノキ。トチは、白さが目に染み入るようでした。
それから、もうひとつ、心に残ったのが広葉樹の多様性です。樹種によって木肌が違うのはもちろんですが、断面の色や模様までこれほど変化に富んでいるとは想像もしていませんでした。胡桃は黄色と茶色が見るからにおいしそうだし、桜はほんのり赤い、栃は真っ白できれい……という具合に、指導員の方から教えて頂くことのひとつひとつがおもしろくて仕方ありません。個性豊かなのは見た目ばかりではなく、樹種によって材の硬軟、しなやかさ、繊維の質などがすべて異なっています。こうした特性に合わせて、昔の日本人は、文字どおり「適材適所」の利用をしてきました。しかし、今ではこうした広葉樹のほとんどが十把ひとからげでチップにされてしまうというのですから、実にもったいないですね。それと共に、日本人が長い間受け継いできた「自然を活かし、生かされる」知恵や文化も失われていくのでしょうから……。
最終日には、高性能林業機械の匠、間沢美治さんを取材しました。よく手入れされ、見るからに樹々たちも心地良さそうにしている赤松林で、まず、伐倒から運搬、玉切りという一連の作業を見学しました。スキッダ、プロセッサといった迫力ある高性能林業機械を自在に操る様子を見ていると、ここはカナダかアメリカかと錯覚しそうになります。続いて、機械音痴の私もプロセッサの操縦席に乗り、操作を体験することに。間沢さんに導かれるまま、おっかなびっくりレバーをいじらせてもらったのですが、工事現場などでよく見かけたブルドーザーなどのガクガクした動きとは程遠い、なめらかで繊細な動きに驚嘆しました。しかも、「何cm」と入力すれば、その通り正確な長さで玉切りしてくれる頭の良さにも唖然。これなら、慣れさえすれば、体力的な負担はほとんどなく、作業がどんどんはかどりそうです。間沢さんの改良提案によって、初期仕様では不可能だったこと、例えば、曲がった幹に対応するというような複雑な動きも実現したと聞き、間沢さんが注いできた情熱のほどを垣間見た思いがしました。
生まれて初めて高性能林業機械を操縦!
その後、間沢さんのご厚意で、取材スタッフ一同、林床での椎茸狩りを楽しみ、地元の方の案内で天然杉の林や、丸太の競り場、広大な白樺林なども見学させて頂きました。父方の田舎がある岩手には幼い頃からたびたび訪れていたのですが、今回は、これまで知らなかった岩手の魅力をたくさん発見することができ、充実感たっぷりの旅になりました。お世話になったみなさん、本当にどうもありがとうございました!
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