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葛城奈海のがんばれ林業
葛城奈海の木もれ日の部屋

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奈良で感じた、さわやかな風 2007.FEB
12月中旬、『MIDORI PRESS』の取材で奈良を訪ねました。小学生時代の6年間を過ごした奈良は、私にとって第二の故郷です。関西空港から橿原へと向かう間、芸名の由来にもなっている葛城山を通過し、早くも気分が盛り上がってきました。
チェーンソーカーバーの梶谷さん
あっという間に丸太がフクロウに!
冬晴れに恵まれた初日、奈良県林業機械化推進センターで、緑の研修生OBでもあるチェーンソーカーバー、梶谷哲也さんを取材。これまでにもチェーンソーアートの作品は見てきましたが、梶谷さんの作ったというフクロウを見て、度肝を抜かれました。羽毛の一枚一枚までが細やかに表現され、繊細で愛らしく、それでいて生き生きとして、まさに「芸術」、アートなのです。制作の様子を目の前で見せてもらい、さらに唖然。あれよあれよという間に一本の丸太がフクロウという生き物に変身していく、その速いこと!しかも、チェーンソーを自在に操る梶谷さんの動きは、腰が入っているにも関わらず、音楽が聞こえてきそうなほどリズミカルで、心から楽しんで創作しているのが伝わってきます。「林業というのは、山の中で行うためなかなか人目につかない仕事なので、このチェーンソーアートをツールとして、多くの人に山の魅力、木の魅力、ひいては林業の魅力を知ってもらえたら、うれしい。『魅せる林業』を目指します!」という志の確かさにも触れ、大変気持ちよかったです。
取材の終盤には、梶谷さんの奥さんである加根(ますね)さんも、身重の体を押して駆けつけてくれました。妻としては、なんといっても洗濯が大変なんだそうです。作業着に付着した木屑とオイルは、「洗濯機を3回くらい回さないと落ちない」とか。チェーンソーアートの日本大会で5位に入賞したという梶谷さん、その才能が花開いた陰には、こうした内助の功があったんですね。
翌日、研修生ふたりを育てている今西木材の今西秀光さんを訪ねました。自らを「森林の保安官」と称する今西さんは、GPSを利用して森林の境界線を明確にするなど、不在山主に変わって森林管理をしています。また私がお邪魔した「保安官事務所」は、吉野杉などを利用した見事なログハウスで、2階部分は寝袋を持参すれば10人くらいは宿泊できる広さ。お洒落で快適な空間に、思わず私もプライベートで泊まりにきたくなりました。
自称、森林保安官の今西さんと奥さま
とてもすてきなログハウス
2階は、こんな風になっています
伐り倒した後も枝払いをせず、そのままにする「葉枯らし」
今西さんに教わったのですが、吉野では「葉枯らし」といって、伐倒した木の枝を落とさず、葉を付けたままにして、水分の蒸発を早めるそうです。そうやって数ヶ月かけて乾燥させた後、なんと「ヘリで搬出する」というではありませんか!また、吉野杉は密植によって年輪の詰まった高価な材を育てると共に、間伐を繰り返すうちに自然に枝が落下するため枝打ちをする必要がないと知って、これまたびっくり。「吉野杉」ブランドが、ここまで個性的な手法で作られていたとは、まったくの想定外でした。
また、今西さんには研修生が自ら記した研修日誌を見せていただきました。天候、研修場所、研修内容、使用機会、学んだこと・課題・反省点などといった項目があり、研修生がそれぞれに感じたこと・考えたことが綴られていて、大変興味深かったです。ぱらぱらめくっただけでも、さまざまな経験をしながら自分で対応方法を考えていく成長の過程を見て取れました。「教え過ぎないように」今西さんも日頃から留意しているそうです。「作業の様子を見ていると、あぶなっかしかったり、じれったかったりして、ついつい手や口を出したくなるけれど、本当に危ないとき以外は、極力我慢して、自分で感じ、考えて、気づいてもらうようにしている」とのこと。常々、教わりすぎないで自分で考えることの大切さを痛感している私としては、大変共感できました。
このおふたりを始め、奈良では森林の現場で活躍する若き担い手たちのエネルギーを、これまでになく肌で感じることができたように思います。単に、若くて活力があるというだけでなく、きちんとしたヴィジョンを持って林業に新しい息吹を吹き込んでいこうという確かな意志が伝わってきました。彼らのお陰で、私の心にまでさわやかな風が吹きぬけたような、そんな爽快さを感じた奈良取材でした。

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