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新潟の森の贈り物 2007. JUL
今にも動き出しそうな木でつくった虫たち。
梅雨真っ只中の7月上旬、『MIDORI PRESS』の取材で新潟を訪れました。中越沖地震に見舞われる1週間ほど前のことです。
雨が降ったりやんだりで撮影には生憎の空模様が続きましたが、そんな中で特に印象に残ったのが、取材の初めに訪れた東蒲原郡阿賀町の「お山の森の木の学校」です。ここで私は、代表世話人の明石さんのご指導の下、木工体験をしました。作ったのは、キーハンガー。ですが、長年使ってきたネックレスかけがとっくに許容量を超えていたことから、当初から私はこれをネックレスハンガーにしようと目論んでいました。
まず作ったのは、カブトムシです。なぜキーハンガーにカブトムシ?とは思いましたが、そんな疑問は胸に秘め、制作にとりかかることになりました。取材時間が限られていたことから、材料は明石さんがあらかじめ用意してくれていたものを使います。机の上に並べられた頭、体、角、足といったパーツを見て、目を見張ってしまいました。特に足など、本物にそっくりなのです。聞けば、頭と体はウワミズザクラ、角はカツラ、足はコブシの枝だとか。見た目の雰囲気や、角であれば対生(一箇所から対になって枝分かれする)といった木の特性を活かした素材使いがお見事です。これらを組み立てる際には木工用ボンドと竹ヒゴを用い、金属の材料は一切使っていません。そのため、木のぬくもりが、そのままカブトムシの体温となっているようで、完成後には、すぐにも、もぞもぞと動き出しそうでした。
いつもは子供たちでいっぱいの木工教室。
冬の間に明石さんが集めた小枝がいっぱい。
接着は強力な木工用ボンドで
 
続いて、キーハンガーにとりかかります。まず土台となる板選び。何種類か用意されていた中から私が選んだのは、かなりの割合で木肌をそのまま残したアオダモでした。これは、野球のバットの材料になっている木なのだとか。続いて、そこに取り付けるキーをひっかける部材を選びます。これは、「ト」の字を逆にしたような枝分かれ部分を利用し、背面を紙やすりで削って土台に接着させます。私が選んだのは、コシアブラとホオノキとヤエザクラ。コシアブラとホオノキは白っぽく、ヤエザクラは黒っぽかったので、白黒が交互になるように配置することにしました。コシアブラは枝の部分がねじれていて、天に向かってかかげられた象の鼻みたいです。ホオノキに紙やすりをかけていたら、えもいわれぬさわやかな芳香が漂ってきました。一口に広葉樹といっても、こうやって実際に手にして加工してみると、それぞれに色、枝のつき方、香り、硬さとまったく異なる個性があるのがよくわかります。
さわやかな木の香りが!
明石さんにアドバイスをしていただきながら制作中!
こうした材料は、冬の間に雪の重みで折れたものを拾い集めてくるのだそうです。「本当はそこからやるともっと楽しい」と明石さん。でも、スタッフふたりで重い枝を集めてくるのは、けっこうきつい仕事でもあるそうです。

そうこうするうちに、だいぶ形ができてきました。そこで再登場したのがカブトムシ。なんと、これはキーハンガーの端につけるというではありませんか!まるで、立派なカブトムシが木に留まっているみたいです。ネックレスハンガーにカブトムシというのは、なんとも奇異な組み合わせのようにも思えましたが、考えようによっては元野生児の私にはぴったりかもしれません。しかも、これまた竹ヒゴをうまく利用し、土台から取り外しも可能なので、このカブトムシはときどき向きを変えたり、遊びに行ったりなどということも自由にできるのです。
ゲームに夢中になるばかりでなく、子どもたちにはこういった五感を使った遊びこそ、ぜひ体験してもらいたいなと思います。ひとつとして同じもののない自然の素材を使った遊びは、頭を使うことで知恵もつき、なにより現代人に失われがちな感性を養うのに、大きな役割を果たすように思えてなりません。

仕上げは、明石さんがドリルで土台にアナを開け、綿の紐を通してくださいました。壁にかけたときにバランスが悪くならないようにと、土台の裏の下部には突起も装着してくださり、実用に向けての備えも万全です。
完成するころには、私もこの作品にすっかり愛着が湧いてしまいました。しかし、取材はまだ始まったばかり。無事に東京まで持って帰れるかというのが、次なる大きな課題でした。足の一本でも折れようものなら、ダメージは深刻です。結果、3日間の取材の間中、このカブトムシ付キーハンガーは、ロケバスの私の隣の席を陣取り、新幹線では壁の荷物かけにぶら下がり、なんとか無事に自宅までたどり着いたのでした。
ステキな木製キーハンガーができました!
自宅で活躍中!のキーハンガー。
今は、たくさんのネックレスをぶら下げて、部屋の壁でしっかりとその役目を果たしてくれています。カブトムシは飛び立ちたくしてうずうずしているみたいですが・・・。

追伸:このハンガーを見るたびに新潟を思い出しています。中越沖地震で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。
NEWS
私がキャスターをつとめるラジオ番組『ちょっと森林のはなし』がTBSラジオ系列で現在オンエア中です。詳しくは「森林の担い手ネットワーク」のニュースページ(こちら)をご覧ください。
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