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葛城奈海のがんばれ林業
葛城奈海の木もれ日の部屋

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今回は、モリだくさん 2007.NOV
木枯らしの訪れと共にガイダンスシーズンが始まり、いつもは4分間ほどのTBSラジオ『ちょっと森林のはなし』も、ガイダンス向けに30分や1時間のスペシャル番組が放送されるようになりました。これと並行して、目下、番組ポスターの制作も進行中です。
広葉樹の木立では、枯葉が舞っていました。
ポスターのメイン写真の撮影は、広葉樹の色づいてきた埼玉県の秩父で行われました。あらかじめスタッフが探しておいてくれた最初の撮影スポットは、すぐそばまで住宅があるような街中ですが、写真で見るとずいぶん森の奥まで来たような雰囲気の漂う杉木立。番組パーソナリティのTBSアナウンサー中村尚登さんとともに足元に注意しながら急斜面を登り、中村さんは立ったまま、私は隣に積み上げられた丸太の上に座ってポーズをとったところで、「あと10分で日が射しますから、そのままお待ちください」と、スタッフから告げられました。狙っているのは、私たちの背後の梢から後光が射してくるショット。斜面を背にしている私たちから見ると、寒々とした杉木立の片隅から徐々に光が差し込み、それが少しずつカメラに近づいてきます。待ったのは、予告どおり、ほぼ10分。冬の柔らかな陽射しが私たちの背中を暖め、それがカメラに重なったところで、シャッターが切られました。こんなにふうに木立の中でじっとして、移ろっていく陽射しを肌で感じたのは、初めてだったかもしれません。カメラマンが微妙に位置を変えながらシャッターを切り続ける間にも、木立に切り取られた陽だまりは、私たちの目の前を静かに移動していきました。

続いて、今度は平地の林の中での撮影になりました。同じく杉木立ですが、こちらは足元に這っている蔦が赤く紅葉して、チャーミングなアクセントになっています。こちらでは、スタッフから「冬ソナみたい」という言葉が漏れたほど、ちょっとロマンチックな雰囲気(そう見えるのは、あくまで木立のせいですが……)の撮影をしたり、カメラマンが地面(の上に敷かれた毛布)に寝転んで煽るようにして撮ったり、同じアングルでもカメラを覗き込むようにしたり、中村さんの提案で、ふたりが雑談している風にしたり……と、いろいろ変化をつけながら撮影が行われました。いつもスタジオ収録ではご一緒させて頂いている中村さんですが、ふたりでロケに出たのは初めてです。雑談撮影では、番組ディレクターの話題で大いに盛り上がりました。

出来上がったポスターは、こんな感じです。
後日談ですが、宮城ガイダンスの会場に届けられた3パターンの候補から、その場にいた関係者10数名の投票により、最終的には私たちがカメラを覗き込むようにしている、カメラマン渾身の一枚(地面に寝転んで撮った写真)が採用されました。私個人としては、後光バージョンや冬ソナバージョンが気に入っていたのですが、確かに、深い森の奥でなにかを発見したような、そんな遊び心のある雰囲気がよかったのかもしれません。


秩父では、ポスター撮影に引き続き、12月放送分の収録が行われました。登場してくださったのは、秩父広域森林組合の持田組合長と研修生になって1年半という新井匠さん。実家が建具屋で小さい頃から木の香りに囲まれて育ったという新井さんは、地元の高校で林業を学び、迷わずこの道を選んだとか。将来は「山を守りたい」と、若干二十歳だとは思えないほど志のしっかりとした姿が頼もしく、「曇りのない眼」が印象的な好青年でした。

飯能方面に移動し、翌日は、西川林業に関係する方々を取材させて頂きました。「西川」というのは地域名ではなく、その昔、江戸から見て西の川から流れてきた材を「西川材」と呼んだことから、その材の供給地である埼玉県南西部(飯能・越生・毛呂山・日高)を指すようになったそうです。この西川材を活用しようと、木製品を自分でつくることができる工房『木楽里(きらり)』を主催している井上淳治さん、また、間伐材でギネスに認定されるほど巨大な木馬を作った井上七恵さん(このあたりは井上姓が多いのだそうです)にインタビューさせて頂きました。
井上七恵さんの本業は、酒屋の女将さんです。
林業家でもある『木楽里』の井上淳治さん。
思いがけず心に残ったのが、タイミングよく特別展で西川林業の道具が紹介されていると聞いて訪れた飯能市郷土館です。大きな鋸や鳶など、単に昔の道具が展示されているだけでなく、材の搬出時の足場を実際に組むなどして、大変見応えがありました。さらに、こうした道具が使われていた現場での作業経験をお持ちの全森連田代部長が丁寧に解説してくださったことで、いっそう理解が深まったように思います。特に衝撃だったのは、「修羅」の写真。まさか修羅が、大量の木材をV字に組んだ樋状の搬出装置だったとは夢にも思っていませんでした。その豪快な現場は、一歩間違えばまさしく「修羅場」であったのだろうと、胸が熱くなりました。

そんなこんなで、いつにもまして「モリだくさん」の秩父・飯能取材だったのでした。
飯能市郷土館のエントランス。
西川林業の歴史を語る、貴重な道具が展示されていました。
『木楽里』のホームページ
http://www.k-kirari.co.jp/

飯能市郷土館のホームページ
http://www.city.hanno.saitama.jp/kyodo/
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