ringyou.net 「緑の雇用」総合ウェブサイト
葛城奈海のがんばれ林業
葛城奈海の木もれ日の部屋

木もれ日の部屋トップページへ戻る
長崎には「いい女」がいっぱい!? 2008.FEB
大寒の2日後、東京では今シーズン初めてのぼたん雪になりました。赤坂にあるTBSのスタジオで降りしきる雪を眺めつつ、東京ガイダンスに向けた1時間番組『ちょっと森林のはなし スペシャル』の収録を終えたその夜、『MIDORI PRESS』のスタッフと長崎へ飛びました。ホテルへのチェックインを済ませ、夜の街に繰り出すと、潮の香りと共に漂ってきたのは、ほのかな春の匂い。南国長崎を感じつつ、ますは名物のちゃんぽんで腹ごしらえして、翌日からの撮影に備えました。
長崎県森連のマドンナ!
松本さん
今回の取材の案内役は、長崎県森連で緑の雇用を担当している松本圭生(たまき)さん。ガイダンスなどで常々お世話になっている方なのですが、周囲への心遣いがすばらしく、それでいて決して押し付けがましくなく、自然体で人の心にすっと入ってくることができる稀有な女性です。彼女に「よかとよ〜」と言われると、誰しも心がほわほわっとなってしまいます。もちろん、研修生たちの面倒見もいいので、彼女が「森林のマドンナ」として誌面に登場すると知り、「これぞ適役」と思わず膝を打ちました。この松本さんに始まり、今回の取材では、心に残る女性との出会いが続きました。
まず、「森林の暮らしレポート」でお邪魔したのが、雲仙森林組合の高橋課長のご自宅です。数年前に新築したという平屋建てのお宅は、まさに「木」づくし。バリアフリーで床暖房までついているので、床の上にいること自体が気持ちよく、スタッフ数名は出されていた座布団を尻目に床の上にちょこんと正座し、ニコニコとご機嫌な様子でした。高橋さん宅で教わったのが、島原名物の「具雑煮」という、具だくさんのお雑煮です。天草四郎が原城にろう城した折に作ったと語り継がれている料理で、地元名物の椎茸と昆布の出汁に大根、人参、白菜、牛蒡、鶏肉、竹輪、蒲鉾といった具を、とにかくたっぷり入れ、最後に丸餅を加えます。私にとって目新しかったのが、白醤油。汁が濁らないようにと、このあたりでは一般的に使われているのだそうです。大根や白菜は、調理を手伝ってくださった高橋さんのご親戚が、この朝畑から収穫してきたばかり。とにかくヘルシーで体に優しい味が食欲をそそり、お代わり続出だったのでした。
高橋さんのご自宅で具雑煮づくりにチャレンジ!
とてもおいしく出来て、試食したスタッフにも大好評。
これが島原名物の具雑煮です。
この高橋課長宅で、私の心を奪ったものがありました。至るところに使われ、飾られていた山野草などをモチーフにした作品の数々です。初めに目が釘付けになったのが、麻の座布団だったのですが、そこには水引(みずひき)という山歩きでお馴染みの花が描かれていました。その一枚に端を発し、お宅の中を見回せば、至るところに桜、ススキ、お月様、兎などをモチーフにした、同一アーティストの作品が溢れています。そのどれもが私の心の琴線に触れるものばかり。そして、なんとも幸運なことに、これらの作品を作ったご本人、染色師の由紀さんも、調理の手伝いに駆けつけてくださったのです。
ステキな作品を作っている染色師の由紀さん。
「山ぼうし工房」は、
ご主人の手作り!

電柱や枕木の廃材を
利用して建てたそうです。
愛媛生まれという由紀さんですが、京都で友禅の修業をしていたそうです。そんな折、長野で開かれた環境関係のイベントで出会った現在のご主人と意気投合、たった一日で結婚を決め、長崎に嫁いできたとか。とはいえ、友禅のような着物は大勢の職人さんたちが分業で仕上げるため、自分ひとりでできるものはないかと考えて、小物や洋服の作品を作るようになったそうです。ご主人は、やはり焼き物を作っているアーティストで、高橋さん宅には、優しく愛らしいご主人の作品も飾られていました。さらに興味をそそられたのが、このご夫婦の究極ともいえるスローライフです。まず、ご自宅からしてご主人が線路の枕木と電柱(普賢岳の噴火で埋まってしまったものを、自分で掘り出して運んでくれば無料で使っていいと許可され、ひとりで運んできたのだとか!)を材料に手作りしたというではありませんか!これは実物を見なければと、うっすら雪化粧した普賢岳を越えて取材の帰りに寄らせていただいたところ、ご夫婦の作品を販売している「山ぼうし工房」、ご夫婦の部屋、3人いる息子さんたちの部屋、そして三角屋根のトイレがそれぞれ別棟に建てられていました。敷石なども拾ってきたり、もらったりしたものですべてまかない、トイレの排泄物は、お茶を沸かす程度のガスと完熟堆肥として利用しているのだそうです。いやはや、ここまでの生活を実践されるとは天晴れとしか言いようがありません。薪ストーブが燃える工房は、こじんまりとしてなんとも心地よく、時間がないことを惜しみながら、青い無花果(イチジク)の実が描かれたワンピースなど、あれこれ買い物してしまいました。

山ぼうし工房のホームページ
http://www.fsinet.or.jp/~yamabosi/

 
ショップにもなっている
工房の中。
思わず見とれてしまいました。
かわいいワンちゃんが
出迎えてくれました。
この日の午後は、東彼杵(そのぎ)郡の波佐見市に移動し、「林業探訪」のコーナーにご登場いただく葉蘭を育てている匠、高月篤さんを取材しました。葉蘭というのは、お寿司の下などに敷かれている大きな蘭の葉で、昔はお握りを包んだりもしていたとか。この蘭が、杉林の林床一面を覆い尽くしています。よく見ると、千両も植えられているのですが、千両だけだと出荷できるのがお正月前の一時期に限られてしまうため、通年の副収入としては葉蘭が適しているそうです。林床での撮影を済ませ、葉蘭をかき分けて車へと戻る道すがら、高月さんが足元の芹に似た植物を一株引き抜きました。「これ、なんだかわかる?」と聞かれて答えられなかったのですが、「オウレン」といって根がキハダとほぼ同じ薬効の漢方になる(=胃薬になる)植物なのだそうです。以前はこのオウレンを栽培していたそうなのですが、適地ではなかったらしく絶えてしまったため、葉蘭に切り替えたのだとか。葉蘭には、緑一色のもの以外に、白色が混じったものも2種類あり、最近ではこういった斑入りのものがフラワーアレンジメントなどで人気なのだそうです。ひとたび植えてしまえば、ほとんど手がかからないそうですから、まさに副収入源としてはうってつけですね。常々「林業一本で家族を養っていくのは厳しいから、林業にふさわしい副収入を紹介してほしい」という声を耳にしている私としては、これはいいかも!と心の中でチェックを入れさせてもらったのでした。
こちらは取材風景。
林の中はちょっと幻想的でした。
葉蘭づくりの匠、高月さん。
移動の途中で車窓から見た干拓が進む諫早湾の様子はなんとも気がかりでしたが、心に残る出会いにも恵まれ、今回もまた充実した取材になりました。それにしても、名物のカステラや生からすみ、鯛の塩辛などなどお土産に散財し、いつになくバッグは重く、財布は軽くなった長崎行だったのでした。
木もれ日の部屋トップページへ戻る
このページのトップへ
copyright(c) 2006 ringyou.net. all rights reserved. プライバシーポリシープライバシーポリシー  サイトマップサイトマップ