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濱中さんと共に両側が急峻な崖になっている尾根沿いに森林へと分け入っていったところ、所有者の違う左右の森林は、様子がまるで違います。手入れされている側は明るく、そうでない側は薄暗く荒れているのです。境界となっている尾根上には、点々と樹齢100年を超す大木が残されていて、それぞれ大人の腕が回らないほどの堂々たる幹回り。うっすらと苔むしていて、遠目にも風格が違います。これらは境目木もしくは際目木と書いて「さいめぼく」と呼ばれたそうです。境界上には、もうひとつ明確に所有者を示すサインがありました。ところどころの木の幹に白ペンキで屋号が記されているのです。濱中林業の場合は、角山吉(かく・やま・きち)。つまり、□のなかに傘の上部のような山型、そして吉の字が描かれています。以前は、これを「矢立」という蓋つきの柄杓のような容器で携帯した墨と筆で描いていたそうです。一本一本の材の小口にも鏝(コテ)で入れていたこの刻印によって、江戸へ向かう船が難破しても、岸に流れ着いた材は、持ち主の元へ戻ったとか。ちなみに、拾った人は1割もらえたと聞き、つくづくよくできたシステムだなと感心してしまいました。
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