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緑の研修生新聞 秋田県篇
「緑の研修生」ニューストップへ 研修生の声 秋田県の森林と林業 森林の知識
スギ人工林面積全国一を誇るスギの王国、秋田県。
秋田空港に降り立つと、空港の玄関に「駐車場にクマが出るので注意」の張り紙があるのが目にとまる。例年であれば、すでに数10センチは積雪しているというが、幸いなことにまだ雪はなかった。取材地の森吉町・阿仁町は、空港から車でさらに数時間、北へ向かう。秋田県は県土の71%が森林に覆われている森林県。北部には世界遺産である白神山地、東部には八幡平など数々の名山が連なる奥羽山脈、南部には日本百名山の一つである鳥海山など緑濃い山々に囲まれている。そして、これらの山々を水源とする米代川、雄物川、子吉川の河川が広大な平野を潤している。また、十和田湖や田沢湖などの美しい湖も多く、豊かな自然に恵まれている。県下の82万1千haの森林のうち、人工林が占める割合は50%。そして、その約9割がスギ人工林だ。スギ人工林の蓄積量は民間林・国有林合わせて8千万立方メートルに達し、その増加量は毎年300万立方メートルのペースで飛躍的に伸びている。一方で民有林のスギは昭和44年から50年にかけて展開された年間1万ha造林運動等により植えられた若い木が多く、下刈りや除伐、間伐などの手入れが必要。「緑の研修生」たちの育成に期待が寄せられている。

「緑の研修生」 平成16年度の「緑の研修生」30人。1年の研修終了まで、あとわずか。
秋田県で森林の担い手をめざす「緑の研修生」は30名。秋田市内で全員が集まり基礎研修を受け、その後、それぞれの森林組合などで指導員について実地研修を受けている。道具の使い方、メンテナンスから始まり、下刈り、枝打ち、除間伐などの基本的な作業を学ぶ。高性能林業機械の操縦に必要な重機の免許は、大館市で3日間にわたる講習会が開かれた。取材した阿仁森吉森林組合では、研修生たちが間伐・除伐などの作業に加え、ユンボなどを使った林道整備の作業にはげんでいた。状況に応じて、実に様々な作業があり、それに柔軟に対応することが求められる森林の仕事。研修生たちは、少しずつそれらを身につけ、日に日にたくましく育っている。3月の集合研修(専門研修)が終われば、1年の研修期間も終了する。研修生たちは、本格就業という次の夢に大きな期待をふくらませていた。


豊かで美しい自然 豊かで美しい自然を未来に引き継ぐため、水と緑を守り育てていく取り組みが進む。
秋田県は、豊かな自然環境を守り、育むために「秋田県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例」(愛称:水と緑の条例)を定め積極的な自然環境の保護・育成につとめている。「水と緑の条例」に基づき平成16年3月に策定した「水と緑」の基本計画では、秋田の地域特性にあった生態系の維持・回復や生物多様性の確保、先人が守り育て伝えてきてくれた「ふるさと原風景」を大切にした景観形成、自然の恵みを享受するためのふれあい活動の促進などが定められている。


秋田スギ 一口に秋田スギといっても、6種類の名称がある。
銘木として名高い秋田スギ。木曽ヒノキ、青森ヒバと並んで日本三大美林として知られている。一般に秋田スギというときは天然秋田スギを指していたが、昭和57年からは秋田産のスギを「秋田スギ」、天然のものは「天然秋田スギ」と呼んでいる。天然秋田スギは、慶長7年(1602年)に水戸から秋田入りした藩主佐竹義宣により保護され、開発・利用されてきた。秋田スギは、秋田の厳しい冬を耐え抜いて生育するため、年輪の幅が細かく、美しく均一な木目となるのが特徴。美しいつやがあり、伸び縮が少なく狂いが生じにくいので建材の他、工芸品など多彩な用途に利用されている。また、秋田スギは樹皮の色調や亀裂の状況により、「マツハダ」、「アカハダ」、「シロハダ」、「トヨハダ」、「アミハダ」、「ハナレハダ」などと呼ばれ6種類に区別されている。

佐竹義宣の甲冑 出典「茨城県史」より



自然観察教育林 樹齢250年以上の天然秋田スギが林立する自然観察教育林。
上小阿仁村の上大内沢自然観察教育林には、樹齢250年以上の天然秋田スギの美しい林がある。上小阿仁村は、藩政時代から「天然秋田杉の里」として広く知られていた。上大内沢自然観察教育林には、700本以上の天然秋田スギの堂々とした巨木が群立しており、訪れる人を厳粛な気持ちにさせる。その中でひときわ異彩を放っているのが、古くから地域の御神木として崇められてきた「コブ杉」だ。この巨木は、平成12年に林野庁選定「森の巨人達百選」に選ばれている。村のシンボルとして、またたいせつな自然資産として保護され、後世に伝えようとしている。


木材市場 大館市に建てられた秋田スギの集成材加工施設が昨年4月より稼働開始。
協同組合秋田県北木材センターが大館市に建設を進めていた秋田スギ集成材加工施設が竣工し、昨年4月から本格的に生産を開始した。集成材とは、乾燥させ大きな節などを取り除いた引き板を集成接着したもの。品質・強度が均一で割れや狂いが少ない木製品として注目されている。とくに平成12年より施行された「住宅品質確保促進法」により建設業者に10年間の瑕疵担保責任が義務づけされたことから、集成材が住宅用構造材の主役になるといわれている。秋田県の集成材加工施設では内装に使用する造作材や公共施設等の大型建築物の耐久部材を生産していたが、一般住宅用の管柱や梁材を生産する工場は初めて。フル稼働となる2年後には生産出荷量で約1万立方メートルの管柱や梁材の生産を予定している。秋田スギの新しい需要開拓に大きな期待が寄せられている。


秋田スギ 「大館樹海ドーム」は、秋田スギによる世界最大級の木造ドーム。
大館市に秋田スギの集成材を用いて建設された世界最大級の木造ドームの多目的アリーナがある。ドームは長径178m、短径157mの規模。野球やサッカーの試合を屋内で行うことができる。このドームのアーチ構造に秋田スギの大断面集成材が使用されている。樹齢60年以上、直径20cm以上の秋田スギ約25,000本が使用されたという。柔らかな自然光に包まれたドーム内は、木材特有の優しい材質感に包まれ、鉄骨造などにはない親しみやすさを醸し出している。
(樹海ドーム:秋田県大館市上代野字稲荷台1−1)


山林 取材地の阿仁町は、有名なマタギの里。
今回取材に訪れた阿仁町は、「マタギの里」として知られている。「マタギ」とは狩猟を生業としてきた人たちのこと。厳しい自然を克服し、野ウサギや鹿、熊などを自由に追い求め狩猟していた。樹木や生物、山や渓谷には霊が宿り、この天地自然を守り支えるのは「山の神」とする山岳信仰を代々継承してきた。自然と人間の共存共栄の文化を生み出していた。

大正時代のマタギ衆。


木材市場 スギの間伐材を魚礁に!現在、試験調査を実施中。
秋田スギの間伐材を魚礁の部材として有効活用するユニークな試みが行われている。民間業者との共同研究により秋田スギ間伐材を組み込んだ魚礁パネルをコンクリート製の魚礁6基に取り付け、西目町沖の水深32mに沈設。耐久性や集魚効果などの調査を行った。結果は、水中テレビにより試験礁付近で魚影を確認することができた。引き続き追跡調査を行い、その結果から今後の事業展開の方式を検討する予定。実現すれば建築用材以外の新しい活用法として期待できる。


森吉山荘 「新しい木との出会い」推進事業で秋田スギの活用に取り組む。
秋田県では、秋田スギなど県産材の利用促進のため「新しい木との出会い」推進事業を実施している。間伐材を利用し小中学校の机・椅子などを製作して教育機関へ提供している。学童たちの健康を考慮し、有害な塗装や接着剤は一切使用していない。教室中がスギの香りで包まれ、生徒にも大好評だ。その他にも、公園施設などにも間伐材を利用し、地産地消の推進と地場産材の需要拡大につとめている。


緑の回廊 秋田・岩手県境の湯田山内地区に民有林「緑の回廊」の設定を計画中。
「緑の回廊」とは、野生生物の繁殖の場や移動路となる連続した森林のこと。近年、全国各地の国有林で、この「緑の回廊」が設定されている。東北地方で代表的な「奥羽山脈緑の回廊」は、奥羽山脈に沿って約400kmにわたって設定されているが、民有林のために途切れている部分が3カ所ある。この部分に民有林による「緑の回廊」を設定し森林の連続性を確保しようという動きがある。その3カ所のひとつ、秋田・岩手県境の湯田山内地区は、地区全体のうち、約95%が秋田県内。県では、地域住民や森林所有者たちとの合意形成を図りながら「緑の回廊」設定に取り組んでいる。


材木 インターネットで見ることが出来る秋田スギ活用住宅展示場。
秋田県では昨年、「魅力ある秋田スギ活用住宅」を募集した。最優秀賞など受賞13作品は、実際に建築され、一般に公開展示された。秋田スギの香りが広がる様々なタイプの住宅を実際に見ることができるとあって人気も上々。現在、公開展示期間は終了しているがインターネットのホームページ「もっと木楽に秋田スギ」の中にある「バーチャル展示場」で見ることができる。

「もっと木楽に秋田スギ」 http://www.pref.akita.jp/sugiteam/index.html


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