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緑の研修生新聞 青森県篇
「緑の研修生」ニューストップへ 研修生の声 青森県の森林と林業 森林の知識
県土の6割以上を森が占め、 ヒバ、ブナ、赤松など特徴ある樹種が分布する青森県。
青森空港に降り立つと、南東方向に雄大な八甲田山が連なり、南西には頂に雲をなびかせた岩木山が一望できた。青森県は、県の全域に青い森が広がり、中央に陸奥湾を抱く自然美あふれるふるさとだ。県土の約66%が森林であり、そのうちの62%が国有林。県有林、市町村有林を含めると、公的な森林が実に7割も占めている。しかも、ヒバ、マツ、ブナ、スギなど木の種類が豊富だ。県木でもあるヒバは津軽、下北両半島に多く生育し、その資源としての量は全国の約8割を占め、全国1を誇る。また、マツは主に南部地方に多く生育しており、厳しい環境に耐えることができる木として海岸線などにも植えられ、強い海風から田畑を守っている。マツとしてその名が知られるのは、甲地赤松(カッチアカマツ)。甲地村(いまの東北町)で生み出される赤松で、家の梁などに多く用いられる。ブナについては、やはり世界遺産である白神山地のブナ林が有名である。さらに、スギは県内にいちばん多く生育し、全域分布。木目の美しさから天井板に、加工しやすいことから桶や樽などに使われている。これらの木々を育む豊かな森は、清浄な水を生み、岩木川や奥入瀬川などの流れとなって津軽平野や三本木原などの広大な農地を潤している。しかも、海の幸も、森がもたらす栄養分に育まれる。県では「ふるさとの森と川と海」の保全と創造をめざして条例を制定し、取り組んでいる。「緑の研修生」たちもその一翼を担っているわけだ。

実地研修 森林のプロをめざす「緑の研修生」129人。いま、実地研修に汗を流している。
青森県全体で森林の担い手をめざしている「緑の研修生」は129名。県内9カ所の事業体で、実際の森林作業を体験しながら林業の技術や知識を身につけるべく、がんばっている。ことしの6月には、スタートして間もない研修生たちが森林の役割や林業の意義、作業内容やチェーンソーなどの技術を修得するため、集合研修が開かれた。津軽、南部、下北、東青地区の4エリアでそれぞれ、その地域にある木材センターなどに集合し、10日間実施されている。それを経てから各事業体で実地研修に入り、下草刈り、除伐、間伐、枝打ちなどの作業を行いながら学んでいるわけだ。だが、青森県の冬は日本海側など特に雪が深い。当然、森林作業ができない地区が多くなるわけだが、雪が降る前に伐り出された丸太の材積計算や間伐材によるクイづくり、製材施設を持っている事業体ではそれにまつわる作業なども行われるという。なお、太平洋側の地域では比較的雪が少ないため、冬でも森林作業が行われているそうだ。そして、この12月1日から14日まで、実地研修での経験を確かなものにするため、県内4カ所に研修生が集合して専門研修が実施される。森林のプロになるには5年はかかるといわれる林業だが、それをめざす研修生たちのがんばりは、まだまだ第一段階といえるだろう。


ヒバの大森林 青森という名称はヒバの大森林にちなんでつけられた。
ヒバは昔アオキ(青木)といわれており、その大森林にちなんで青森という名称はつけられたという。ヒバは、ヒノキ科アスナロ属の針葉樹。木曽地方に多い南方型のアスナロと、青森に多い北方型のヒノキアスナロがある。アスナロの語源は植物学者によると、初めはアツハヒノキ(厚葉ヒノキ)で、それが転じてアスハ(明日は)ヒノキに。そして、明日は未来であることからナロウが加わり、アスナロウからアスナロになったと述べている。いまから1万年以上前には、県内の各地に非常にこのアスナロ(ヒバ)が多く分布していたらしい。研究者は、青森の下北がヒバの発祥の地であろうと推定している。旧石器時代、私たちの祖先が石器で獣を追っていた頃に、すでにヒバの原生林が繁茂していたようだ。下北半島の東通村太平洋沿岸には、ヒバ林の遺跡というべき埋没林がある。ここには、かつてヒバの大森林があったが、800年から1,000年前に埋もれたと見られている。下北、津軽両半島や夏泊半島・野辺地地区、大鰐・碇ヶ関地区、深浦・鰺ヶ沢地区などには、いまもヒバ林が分布している。ヒバは昔から青森を代表する木であり、弘前城をはじめ神社仏閣など青森ヒバを使った歴史的な建物も多く残されている。


眺望山休養林のヒバ天然林 眺望山休養林のヒバ天然林は、日本三大美林のひとつ。
青森市の西にある眺望山自然休養林のヒバ天然林は、長野の赤沢休養林の木曽ヒノキ天然林、秋田の仁別休養林の秋田スギ天然林と並ぶ日本三大美林のひとつ。海抜は143mと低く、山頂まではゆるやかな遊歩道が続いている。山頂からは、眼下に陸奥湾や青森市の街並みが望まれ、周辺の山並みも美しく、眺望山の名にふさわしい。ここには、樹齢200年は超えるかという天然のヒバをはじめ、ヒノキ、カラマツ、スギなどの人工林も見られ、植物の種類も豊富。森林浴や植物観察など、気軽に楽しみながら散策できる憩いの山になっている。一帯は、林野庁が昭和43年(1968年)に森林リクリエーションなどの増大に応えるために設けた「自然休養林」であり、全国10カ所のうちのひとつだ。なお、林野庁はこの10月に、森林浴によって健康増進やリハビリへの効果が期待できる山林を「森林保養地」とすることを決め、近く全国から候補地を募る。森林浴の効果を医学的に分析し、実証実験を重ね、適した森林を指定して森林療法の拠点づくりを進める。また、森林セラピスト(療法士)の資格を設けるほか、森林療法メニューもつくるという。ストレスの多い時代に、ますます森林浴の素晴らしさが注目されている。


世界遺産、白神山地 世界遺産に登録されている白神山地。青森県側の面積は、その4分の3。
青森県の南西部から秋田県の北西部にまたがる白神山地のブナの林、約1万7,000ヘクタールは、1993年(平成5年)12月に世界自然遺産に登録された。青森県側には、その約4分の3の広さのブナ林がある。どこまでも深く美しいこの森には、ブナをはじめミズナラ、サワグルミなどの多くの樹種が見られ、またツキノワグマ、ニホンザル、特別天然記念物のニホンカモシカ、天然記念物のクマゲラ、イヌワシなどが生息。非常に豊かな動・植物層を持ち、遺伝子の宝庫といわれている。さらに、天然のブナの森は豊かな水を育む。ブナは保水力が高く、樹齢200年の木になると、蓄える水の量は年間8トンにもなる。しかも、落葉の季節となると1ヘクタール当たり2.8トンの葉を落とし、腐葉土となる。この腐葉土が、雨水や雪解け水を蓄えるわけだ。里の湧き水も、川の水も、川が運ぶ海の栄養分も、豊かなブナの森があればこそといえる。しかし、地球温暖化による気温の上昇は、ブナの分布域に影響をもたらすという予測がある。2100年頃までに平均気温が約3.6度上昇すると、西日本では山頂以外はほぼ全域、中部から東北も高山地帯などのほかは分布の適正地からはずれるという。地球温暖化を防ぐために、全国の森林整備の大切さが叫ばれているが、それは世界自然遺産である白神山地を守ることにもつながっている。


複層林施業 一斉に伐らずに少しずつ伐採し、あとに苗木を植え、循環型の森林整備を進めている。
青森県ではいま、新しい森林整備の方法である「複層林施業」を進めている。これは、森林を一斉に伐採するのではなく、少しずつ伐採して、新しく苗木を植えたり、すでに生育している天然の稚樹を残して育てていくやり方。これまでは、一斉に植えて40年から45年たったら一斉に伐採する方法で行ってきた。しかし、整備の方法にもいろいろあっていい、という考えと、地球温暖化防止や森林の機能を維持させていくということから、このやり方が増えてきた。また、複層林を整備していくうえで、木を80年や100年まで育ててから伐採し、その下に植えた木が30年、50年となっているようにすれば、絶えず伐採と植栽を繰り返していける循環型の森林整備ができる。しかも、樹齢80年から100年の太い木が生産でき、高収入にもつながる。林野庁も、循環型サイクルが保て、伐採収入を得ながら、森林の機能を低下させないこの整備方法を勧めている。


黒松の防風林 海からの潮風と飛砂から畑を守る、 黒松の防風林。
津軽半島の、日本海に面して広がっている七里長浜には、30キロにも渡って黒松の防風林が続いている。海からの潮風や砂の飛来と岩木おろしを防ぐ様が、あたかも屏風のようだとして「屏風山」といわれている。この植林は江戸時代の前半に始まり、日本初の防砂林事業だった。しかし、天明の大飢饉により木は切り倒されてしまい、その40年後にまた植林を始め、明治7年まで続けられたという。内陸部に入ると広大な農地が広がっているが、その中に樹齢100年以上の黒松の防風林が連なっており、かつての事業の成果をいまに残している。さらに、いちばん海岸よりの防風林は、昭和46年から30年がかりで整備されたもの。これを第1線として、内陸側に昔の防風林である第2線、第3線がある。それらの松林に守られている畑は、砂地と昼夜の温度差が大きいことから糖度の高いスイカやメロンの大産地となっている。また、ダイコン、長いも、ジャガイモ、らっきょう、ネギ、小麦なども作られている。ここは、黒松の防風林が農業の振興に役立っている、典型的な地といえるだろう。


ヒバ・鶴の舞橋 ヒバ、スギ、マツなどの地元の木は、こんな使われ方をしている。
青森ヒバは、古くから建築材として利用されてきた。弘前城や、青森市の青龍寺本堂、森林博物館、仙台の西方寺五重塔、岩手の中尊寺金色堂など全国各地の神社・仏閣などに用いられているほか、一般住宅、公共施設にも使用されている。ヒバは、極めて耐朽性の高い木であり、含まれている成分(ヒノキチオール、シャメールB)が強い殺菌力を持っている。そのため、シロアリに最も強い建築材といわれており、土台など湿度の高い場所で威力を発揮する。また、木目や木肌の美しさから、柱や内装、外装材として広く使われている。スギは、県内にいちばん多く生育している木。住宅の柱材をはじめ、その木目の美しさから天井板に、また加工のしやすさから桶や樽などにも用いられている。さらに、このヒバやスギは、木橋、防護柵、デッキ、案内板などさまざまに活用されている。そして、南部地方に多いマツは、住宅の梁に多く利用されるほか、実はリンゴ箱に使われている木がマツで、昔からリンゴの色がよくなるといわれているそうだ。


初雪たけ 青森県の山の恵みはいろいろ。身近なところで役立っている。
森林から生産される木材のほかにも、青森県にはさまざまな山の恵みがある。ヒノキチオールを含んだヒバ油は、抗菌作用に優れていることから、シャンプー、入浴剤、石けん、化粧品などにも用いられ、アトピー性皮膚炎の人に利用されているという。また、ヒバのまな板はその抗菌作用から、病原性大腸菌(O-157)に効果があるといわれる。そして、おいしい山の恵みとして、青森県で開発された「初雪たけ」がある。その名の通り白いキノコで、これはナメコが突然変異によって白くなったものを選抜し、商品化したもの。香りがよく、クセのない淡泊な味わいのキノコで、炒め物や肉料理の付け合わせに適しているという。そのほかにも、青森県には木炭や工芸品に用いられるうるしなど、暮らしの身近なところになじみ深い山の恵みが生かされている。


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