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「緑の研修生」ニュース 愛媛県篇
「緑の研修生」の声

「緑の研修生」の声

美しい久万高原の自然の中で森林の担い手を目指す「緑の研修生」たちの声。

愛媛県のほぼ中央に位置する久万高原町は、四国山地に囲まれた山間の地域。西条市との間にそびえる石鎚山は標高1,982mで西日本最高峰である。町の林野率は90%以上。そのうち80%が人工林で、古くから林業が盛んな土地だ。しかし、林業従事者の高齢化の波は、ここにも押し寄せている。今回は、平成2年に継続的な森林施業管理、林業生産活動を行っていくために第3セクター(官民共同)方式によって設立された林業担い手会社(株)いぶきを訪れた。
(株)いぶきは、近代的な雇用条件と積極的な機械化導入により平成9年に朝日森林文化賞を受賞している。久万高原で研修に汗を流す「緑の研修生」たちの声を聞いた。



きついことも多いけどがんばって林業を続けていきます。
株式会社いぶき 丸山 克紀さん

小松 純一さん 地元出身の丸山さんは、旧・美川村にある食品製造会社で働いていたが、実家に山林があるので5人目のお子さんが生まれたのをきっかけに林業で生きていこうと決心したお父さんも、以前は営林署に勤めていたそうで、林業は身近な仕事だった。
しかし、予想以上に山仕事はつらく「最初の3ヶ月で体重が20kg減りました」とのこと。
「緑の雇用」のことは、会社に入るまで知らなかったが「いろいろな資格も取らせてもらえるので、いい制度だと思います」。すでに小型建設機械や玉がけの資格を取ったそうだ。
楽しい仕事は伐倒で、「うまく倒せると気分がいいです。難しいのは、チェーンソーの目立てですね」と語る。
趣味は釣りで、休みの日には近くの面河ダムへブラックバスを釣りに行くという。「このまえ、小学校1年生のいちばん上の子を連れていったのですが、とても喜んでいました」と優しいお父さんの顔つきになった。


林業のいちばんの魅力は、仕事に変化があることです。
株式会社いぶき 山下 祐文さん

山下 祐文さん 山下さんも丸山さんと同じ食品製造会社に勤めていたが4年ほどで辞め、その後は土木関係の仕事に10年ほど就いていた。地元で働こうと思い、林業を志したという。研修の感想を聞くと「最初のうちは、仕事以前の山歩きで脚が筋肉痛になって、現場にたどり着くのがやっとでした。最初の1、2週間は、明日仕事に行けるだろうか、と思ったほどです」と苦労を語る。
「今は身体も慣れてきました」と少しずつ自信が芽生えてきたようだ。土木の仕事をしていたときに重機の資格を取っているが、今はまだ乗る機会はないそうだ。
将来、どんな林業家になりたい?と聞くと「今は、仕事を覚えるのがせいいっぱいです。早く一人前になれるようにがんばっていきたいです」と答えてくれた。
林業の魅力は?と聞くと「きつい仕事だけど、身体はすぐに慣れます。土木は限られた範囲から動かないけど、林業は広範囲に動ける。変化がある仕事です」と林業の魅力を発見したようだ。


どんな状況でも冷静な判断ができるようになりたい。
株式会社いぶき 田中 隆治さん

田中 隆治さん 高校時代は、野球部で外野手だった田中さん。地元に残って仕事をしたいと思い、高校を卒業してすぐにこの会社に入った。林業にも興味があったが、本当の理由は会社に野球部があったからだという。しかし、入ってすぐに仕事がきつく、辞めようかと悩んだ。そのとき、班長さんや仲間にがんばれ!と励まされ思いとどまったという。両親も最初は心配したが、最近は林業のことがわかってきたらしく応援してくれている。
「まだ怒られることが多いですが、がんばって一人前になり、林業の担い手になりたいと思っています」と力強く答えてくれた。
将来は、大径木を伐り倒せるようになるのが夢。「今はまだ、あせったり、びびったりしていますが、どんな状況になっても冷静でいられるようになりたいです」と力強く語ってくれた。最近は、休みの日に班の先輩に誘われて海釣りに行くこともあるという。いい仲間に囲まれて、充実した研修生活をおくっているようだ。


仕事中に野生の動物と出会えるのも林業の楽しさの一つです。
株式会社いぶき 大野 竜太さん

大野 竜太さん 大野さんも地元出身。高校を卒業後、松山の造園業の会社に4年ほど勤めたが、通勤がつらく地元で職探しをした。
そのとき、知人が今の会社を紹介してくれたのが研修生になるきっかけだった。「高校は林業科だったし、父も木材流通関係の仕事をしていたので林業をやることに抵抗はありませんでした」と語る。この会社にも同級生が2人いるそうだ。
研修でいちばんたいへんだったのは?と聞くと、すぐに「山歩きですね」と答えた。「チェーンソーを担いで、弁当が入ったリュックを背負って一日中山を登ったり下ったりするのは本当に疲れます。最初は続くかなと思いましたが、しばらくすると身体が慣れてきました」とのことだ。
大野さんは半年前に結婚したばかり。奥さんは同級生だそうだ。周囲からうらやましがられない?と聞くと「そんなことはないですよ」とうれしそうだった。
林業をしていて楽しいことの一つにいろいろな動物に出会うことがあるという。「この前は、ムササビを見ました。イノシシと出っくわしたこともあります」と楽しそうに答えてくれた。


海をきれいにしたくて林業を志しました。
株式会社いぶき 佐々木 俊介

大和田 興土さん 佐々木さんは新居浜出身で、6年間ほど外国航路の船員をやっていたというユニークな経歴の持ち主。
海から山へ転職しようと思ったきっかけを聞くと「外国から日本に帰ってくると海がきたないんですよ。海をきれいにしなければ!と思ったのが林業を志したきっかけです」と答えた。
船を下りて、すぐに林業をやるのではおもしろくないと思い、生態系の勉強をしようと専門学校に通った。「一時は環境マネージメント関係の仕事に就こうかとも思いましたが、自然環境調査のアルバイトをする中で、自然環境に対する林業の役割の大きさを改めて知り、林業を選びました」という。
ちょうど大阪で「森林の仕事ガイダンス」があったので愛媛県ブースに相談に行き、今の会社を紹介されたという。
「海をきれいにする、というのが僕の究極の目標。林業は意義のある仕事だと思ってがんばっています。自分が手入れした山がこれからどうなっていくのか、想像するのが楽しいです」。
これから林業を志す人へのアドバイスは?と聞くと「初志貫徹で、がんばってください」とエールを送ってくれた。
受け入れ側の声

林業は経験の積み重ねが大事。けがをせずに経験を積み、立派な担い手に育ってほしい。
株式会社いぶき 岡田 寿さん

岡田 寿さん (株)いぶきでは現在、5名の研修生を受け入れている。
研修生たちの相談役でもある岡田さんは「今はどの地方でも後継者が不足している。けがをせずに早く仕事に慣れて久万林業の担い手になってもらいたい」と研修生たちに期待する。
「体力ももちろんたいせつですが、必然性に迫られている人が長続きすると思います。ただ自然が好き、というだけでは長続きしませんね。iターンの人でもこちらで結婚して地元に定着した人は残っています」と語る。
「林業は、工場のラインの仕事のように単純作業に思われるかもしれませんが、実際は違います。木を倒す場合も1本1本すべて条件が違う。経験を積んでいかないと難しい仕事です。自分の身体で覚えていくしかありませんね」と林業の難しさを教えてくれた。
「緑の雇用」事業について聞くと「1年間、費用助成が受けられるのは事業体にとってありがたいことです。1年かけてお互いに適正を判断できますから。最初は下手でも、1年経つと見違えるように上達する人もいます。できれば3年ぐらい何らかの補助が続くともっとありがたいですね」。
(株)いぶきでは、町営住宅を会社で確保し、他所から来た人にも対応できるようにしているという。


女性でも
株式会社いぶき 鈴木あかね さん

鈴木あかね さん(株)いぶきの紅一点作業員の鈴木さんは、高校の林業科を卒業後、(株)いぶきに平成8年に入社した。
「高校時代に女性の先輩が今の会社で働いていたんです。そこで夏休みに体験入社をしてみて、自分でもできるな、と思いました」と語る。
しかし、最初はつらいことばかりだったという。「やはり体力的につらかったです。泣いたこともあります。でも、まわりのみんなが気をつかってくれて助けてくれました。仲間に支えられてここまで来ることができたと思います」と微笑む。
今では、林内作業車やグラップルなどの重機のオペレータとして活躍している鈴木さん。研修生たちには「私がわかることは教えてあげています」とのこと。
林業の楽しさは?と聞くと「自然の中で、仲間とわきあいあいと働けることです。間伐をすると林の中に光が差し込み、明るくなってとても気持ちがいいんですよ」という。
女性が現場で働くのはたいへんではないですか、と聞くと「チェーンソーは腰にきますね。でも木を伐る作業は楽しいです。やる気と勇気があれば大丈夫だと思います。きっとみんなが助けてくれますよ」と答えてくれた。


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