緑の研修生新聞 福島県篇
「緑の研修生」ニューストップへ 研修生の声 福島県の森林と林業 森林の知識
日本で3番目の広さを持つ福島県。その71%が森林である。
福島県の面積は13,782平方キロメートルで北海道、岩手県についで全国で3番目の広さを誇る。その広大な県土の約7割が森林に覆われている。森林面積も全国で4番目の広さだ。森林の60%が天然林、35%が人工林で、天然林の割合が比較的高い。また、森林の保有形態を見てみると58%が民有林、42%が国有林となっている。民有林の樹種は、スギ、ヒノキなどの針葉樹よりもナラやクヌギなどの広葉樹の占める割合が大きい。また針葉樹ではスギの割合がもっとも大きく、ついでアカマツ・クロマツとなっていてヒノキの割合はあまり大きくないのが特徴だ。また、桐の生産量は日本一を誇っている。とくに会津地方の只見川流域から生産される「会津桐」は日本有数の桐材として知られている。そして、豊かな森林資源に恵まれている福島県では、木材生産だけでなくキノコや山菜の生産もさかん。とくにキノコ栽培は林業生産額の3割を占める重要な産業となっている。

「緑の研修生」 福島県の「緑の研修生」は80名。森林の中での実地研修もいよいよゴール。
緑豊かな福島では、総勢80名の「緑の研修生」たちが、明日の森林の担い手をめざして研修にはげんでいる。福島県では、林業事業体で構成されている磐城流域管理林業協同組合(以下、磐林協)などの林業協同組合が中心となって「緑の研修生」を受け入れている。集合研修は、林業労働力確保支援センターが行い、実地研修は各林業事業体が行う。こうしたケースは全国でもあまり例を見ない。また磐林協では国有林を「緑の研修生」の研修フィールドとして使用するために磐城森林管理署と「フィールド提供協定」を昨年4月に全国に先駆けて締結した。これにより国有林を研修生のための研修フィールドとして積極的に活用している。研修生たちは厳しい暑さとの闘いでもあった夏の下草刈りや除伐、ツル切り作業を経験し、秋から冬の間伐や枝打ち作業などを経て、たくましい森林の担い手へと育っている。研修終了まで、あとわずか。そして、いよいよ本格就業へ。森林のプロとしての新しいスタートが待っている。


山林風景 森林との共生をめざし、「うつくしま森林・林業・木材産業振興プラン21」を進めている。
福島県は、森林と人との理想的な関係である「森林との共生」の理念に基づく循環型社会の実現をめざしている。また、「地産地消」にも積極的に取り組み、県産木材等の利用促進に努めている。県では平成15年に、21世紀半ばにおける森林・林業・木材産業の望ましい姿を示し、その具現化に向けての施策の方向を『うつくしま森林・林業・木材産業振興プラン21』にまとめた。この振興プランでは、「21世紀の豊かな森林、活力ある林業・木材産業づくり」を基本目標とし、多面的機能の発揮に向けた森林整備や県産木材の安定供給と需要拡大、森林・林業を支える担い手の育成・確保と技術開発などの施策の方向を示している。また、豊かな森林を将来にわたり緑の資源として保全して行くには県民一人ひとりの理解と協力が不可欠であることを訴え、県民参加による森林作り運動の推進を提唱している。県では「グリーンフォレスター」と呼ばれる森林整備の専門的知識や技術を持つ指導者の育成・確保にも力を注いでいる。


スギ いわき市がある磐城流域は古くから林業が盛ん。
今回、取材に訪れたいわき市は、古くから林業が盛んな土地で人工林化も進んでいる。中でも阿武隈高地に位置する田人、遠野、三和地区は気候・土壌条件がスギに適しているため、その生産地として名高い。いわき市へは、常磐線の特急スーパーひたちを利用した。いずみ駅で下車し、そこから車で1時間ほど走り、取材場所の三大明神ハンモックガーデンへ到着した。いわき市は太平洋側気候で冬も雪が降ることはないとのことだったが、前夜思いがけぬ積雪があり一面の銀世界だった。山頂近くからの展望は素晴らしく、太平洋がすぐ近くに見える。なるほど浜通り地方と呼ばれている理由が実感できる。このいわき市は、磐城流域に含まれる。流域とは森林計画などのために国が定めている単位。主要な河川の「流域」を一つの単位とし、国有林・民有林共通で全国158の流域を定めている。流域を単位にすることで、森林の機能を効果的に発揮させ、また木材の生産・加工・流通に関する活動も効率的に行うことができる。福島県は、会津地方の「会津流域」、東白川郡を除く中通り地方の「阿武隈川流域」、東白川郡の「奥久慈流域」、浜通り地方の「磐城流域」の4流域に区分けされ、それぞれの流域で特質に応じた森林整備や林業推進活動が行われている。


展示林 目兼スギは、福島を代表する銘木。いわき市にある展示林は、かつての間伐試験地。
仏具山国有林は、品質の良い目兼スギの生産地として知られている。ここにある目兼スギ展示林は、1900年(明治33年)に、スギの植林が行われた。現在では樹齢100年を越える見事な目兼スギの巨木が林立している。この展示林では、1929年(昭和4年)に林業試験場技師の河田博士の指導により間伐試験が行われた。河田博士は、3つの間伐方法を採用した。1つは寺崎式B種と呼ばれる方法でドイツ式または下層間伐とも呼ばれるもの。2つめがフランス式またはデンマーク式と呼ばれる上層間伐。3つめが河田式と呼ばれる各層間伐。間伐試験は1941年(昭和16年)、1950年(昭和25年)にも行われている。1963年(昭和38年)には、試験地が目兼スギの学術参考保護林に指定された。そして1979年(昭和54年)に第4回目の間伐が実施され、1983年には林業試験場の小坂氏により間伐試験地の成績調査結果が報告された。これによると、間伐の強弱は、樹木の肥大成長に著しい影響を与えることや間伐型式の違いによる差はないことなどがわかった。


作業風景 福島の県の木は欅。かつては福島を代表する材だった。
欅(けやき)は、日本の代表的な樹木の一つ。高さ35m、太さ2mにもなる。幹はふつうまっすぐでこれから分かれた枝がほうき状に上向きに伸びる。本州、四国、九州に広く分布している。宮城県から福島県へかけての阿武隈山地は、古くから天然の欅の名産地として知られている。しかし、近年はその数が少なくなっている。福島県では昭和41年に公募により県の木に指定された。


木材 福島は、特用林産物生産の盛んな地。
福島県は、豊かな森林環境と大消費地に近いという地理的条件もあってキノコ栽培がさかんな土地だ。シイタケ、ナメコ、ヒラタケ、マイタケ等さまざまなキノコが栽培されている。特に生シイタケとナメコの生産量が多く、生シイタケは全国第7位、ナメコは全国第5位と、全国でも有数の生産県となっている。また、栽培技術の改善や新品種の開発にも力を注いでいる。写真の福島N2号(なめこ)は福島県で開発されたものだ。


とってお木 県産材に「とってお木」というブランド名をつけ普及に努めている。
福島産材を住宅資材としてもっと利用してもらおうと「とってお木」というブランド名をつけて普及促進を図っている。「とってお木」は、恵まれた気候風土のなかで成長した森林の優良原木を使用した材。ブランド材認証工場として認定を受けた工場でJAS規格の基準に基づいて生産されている。含水率20%以下の乾燥材で、軽くて強く、割れる、ねじれる、曲がる等の狂いがない優れた品質の材だ。また、定められた品質規格寸法の基準に基づき、選別格付技士により適正に選別格付されている。


しずく 桐材の生産は全国一の福島県。「会津桐」の名で福島の桐製品は全国に知られている。
会津地方の只見川流域から生産されるのが「会津桐」。そのすばらしい形質は古くから日本有数の優良な桐材として知られている。桐には、調湿性があり、軽く、腐りにくく、断熱性が高い。とくに会津桐は材質が緻密で、材に粘りがあり、美しい銀白色の光沢がある。また年輪が明瞭で、すり減っても割れないという。従来は桐タンスが需要の中心だったが、最近ではそれ以外の目的にも利用されている。代表的なものでは桐を粉砕して粉にしたものを原料とする桐塑人形や耐湿性・抗菌性等を利用した赤ちゃん用のクレイドルチェアやベビーベッドなどがある。


作業風景 間伐材を利用した視線誘導標を製品化。
いわき市森林組合などでつくる研究チームが、視線誘導標の支柱の木製化に成功した。耐久性、低コスト化、実用性を重視して研究を重ね、いわき市森林組合林産加工場で防腐・防蟻のために使用している薬剤に注目。試作検討の結果、この薬剤を注入した木材は、国の森林総合研究所の野外試験により、15年経過してもほぼ健全に維持され、また、ガラス質の塗装を施すことで、さらに耐用年数が延び、変色が少なくなることがわかった。反射鏡は木材をくり抜いて取り付けるため金具が不要で、従来の鋼管製に比べ製造コストを1本当たり1000円程度下げることができるという。林業での「地産地消」の主要事項は、木材利用の推進にある。今回の成果は、間伐材の新たな需要拡大が期待できる。


このページのトップへ