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「緑の研修生」ニュース 群馬県篇

群馬県のトピックス

新井堯さん 新勝流の名人
新井堯(たかし)さん
(多野東部森林組合)

藤岡で生まれた匠の技。諸刃の鎌・鉈を使う「新勝流」枝打ち。

群馬県藤岡市には、全国に誇る「新勝流」という枝打ちの技がある。
独特な形状をした諸刃の鉈や鎌を使うもので、昭和40年に林業家の故・新井勝之助翁がスギ・ヒノキの無節優良材を生産するために、神流町の「天野刃物工房」の天野勝夫氏と共同で開発したものだ。

新勝流には、低所用の鉈と高所用の鎌がある。鎌は接続ポールを使い、高さ7mくらいまできれいに枝打ちできる。
「枝の上から鎌を引き、枝を落とします。
次に鎌の峰側の刃で突き上げるようにして跡をきれいに平にします。引いて、突く一連の動作で、素早く枝打ちを行えます」。

 

匠の手にかかると、みるみるうちに枝が落とされていく。

新勝流のよさを聞いてみると「新勝流はハシゴを使わず地上から作業するので、ハシゴから落ちる心配がありません。

傾斜が急で足場が悪いところでも安全に作業ができますし、能率もずっといいです」と教えてくれた。

 

鋭い切れ味の諸刃の鎌で打った切り口は幹に沿ってきれいに削れている。

巻き込みが早く無節優良材生産に適している技術だそうだ。

 

 

 

この「新勝流」枝打ちの名人、多野東部森林組合の新井堯さんに実際の仕事ぶりを見せてもらった。

新井さんは、新勝流の鎌を使って25年。平成14年度の第1回「森の名手・名人」で全国100人の1人に選ばれた大ベテランだ。





万葉の里 朝採り野菜や山菜、
竹細工や木工品など
地元ならではの特産品がいっぱい。
森林組合が運営する道の駅「万葉の里」

国道426号線沿いにある道の駅「万葉の里」(まんばのさと)は、神流川森林組合が平成13年から神流町に委託され、従業員の雇用から経営まですべてを切り盛りしている。

建物は、森林組合の運営だけあって地元のスギの大径木を12本も使用した立派なもの。森林組合が道の駅を運営しているのは全国でも珍しい。

この「万葉の里」の呼び物は、四季折々の山の味覚を活かした定食。なかでも夏の鮎定食は、神流川で採れた天然鮎を使ったもので、注文があると生け簀から鮎をすくい調理する。

また、地元の有休畑を利用して蕎麦を育て、店内で粉に挽き、蕎麦を打って出している。今では名物の一つになり県外からもお客さんがやってくるという。

そして、神流森林組合では、地域のお年寄りにお弁当の配食サービスをしている。「万葉の里」で作ったお弁当を森林組合の職員がお年寄りたちに手渡しして歩く。その際、声をかけ、話し相手になってくるという。今まで町を支えてくれた人たちへ恩返しをしようというのも目的の一つだそうだ。

この配食サービス事業は、お年寄りたちにも好評だ。神流川森林組合は、林産事業だけでなく多角的な事業展開を試みている。道の駅「万葉の里」は観光客はもちろん、地域のコミュニケーションスペースとしても活用され、大きな成果を上げている。

五色まんじゅうと五色焼き餅名物の一つ、五色まんじゅうと五色焼き餅。

 



味噌昔からの製法による特産の味噌。
信州味噌より塩気がある。



日本の木の話A

ヒノキ耐久性があり、独特の香りを放つヒノキは、最良の国産材。

ヒノキ【桧・檜】 Chamaecyparis obtusa

ヒノキは本州の福島県以南から四国、九州、屋久島まで分布する常緑針葉樹。「火の木」が名前の由来で、内部までよく乾燥しているので火起こしの木に使われたことが由来らしい。

針葉樹の中では生長が遅い。樹高は30〜40mになる。葉は鱗状で先が丸く、裏側にY字形の気孔が見られるのが特徴。春に花が咲き、秋に1cm前後の球果が熟する。

スギが多湿な場所を好むのに対し、ヒノキは乾燥した場所を好み、天然のものは尾根すじの岩場などに見られる。

植林する場合には、谷側にスギを、尾根側にヒノキを植える。 天然林では木曽、飛騨、高野山、高知などが有名。造林産地としては尾鷲(三重県)、天竜川(静岡県)、吉野(奈良県)、東濃(岐阜県)、美作(岡山県)などがある。

ヒノキはスギとともに日本の主要な造林樹種。スギよりも生育が遅く、年輪が細かく、木肌は緻密。そのため、スギよりも値が高い。

材は、加工しやすく、狂いも生じにくいことから古くから寺社仏閣の建材や仏像などの彫刻材、家具調度品の材として利用されてきた。樹皮は屋根葺材料として使われる。
また、葉は魚や餅の容器に敷いたり、マツタケに添えられたりする。



指導員・受入側の声

自分たちが森林を守るという使命感を持ってほしい。
上野村森林組合 三枝 義明さん

三枝 義明さん

上野村森林組合で研修生の指導に当たっている三枝さんも昨年上野村に来たIターン組。その前は、岐阜県の郡上森林組合で働いていた。
実家が神奈川なので、少しでも実家の近くで働こうと上野村に移って来た。
三枝さんに研修生の様子を聞くと「けっこう難しい仕事もそつなくこなしてもらっています。上達も早いです」と満足そうだ。
気をつけているのは、やはりケガのこと。「あわててやる必要はない、それよりも無駄のない動きをしてほしいと教えています。動きはゆっくりでも、途中の無駄な動きがなければ仕事は早く終わります。あわてて無駄な動きをして疲れるよりは、頭を使ってやれ!ってうるさく言っています」と語る。
林業を続けていく心がまえについて聞いてみると「昔と違って材を取るための伐採よりも、林災防止のための森林整備の仕事が多くなっています。自分たちが山を守る、自然環境を守る、という使命感を持って取り組んでもらいたいと思います」と語ってくれた。




どんな現場でも基本通りの作業が安全にできるように。
神流川森林組合 高橋 由男さん

高橋 由男さん

高橋さんは森林組合に勤務して30年近くになる大ベテラン。
研修生たちのことを聞くと、「覚えようとして一生懸命です。朝のミーティングで、こうしようと話すと真剣にそれを守って、がんばってくれます。指導員もうかうかしていられません。研修生に引っ張られている感じです」と微笑む。
指導で、いちばん気をつけているのはやはり事故のこと。「安全面については、うるさいぐらいに言っています。今までは事故がありませんが、慣れてきたときが危ない。さらにお互い注意し合おうと思っています」と、心構えを聞かせてくれた。
研修生には、どんな現場に行っても、基本通りの作業が安全にできるようになって欲しいという。「研修で学んだことを、早く自分のものにして欲しい」と続けた。
「山の仕事は、10年ぐらいは無我夢中。20年ぐらいでやっとわかってくる。気長にがんばってもらいたい。わからないことは、どんどん班長さんや先輩に聞いて。黙っているといつまでも覚えない。知らないことを無理にやろうとするとケガにもつながります。みんなと和を持って仕事をやっていけるようになって欲しいですね」と研修生への期待を語ってくれた。





町の活性化にもつながるので若い人たちに、どんどん入ってきてほしい。
神流川森林組合常務理事 宮前 隆さん

宮前 隆さん

神流川森林組合で研修生の面倒をずっと見ている宮前常務さんにお話を聞いた。
平成17年度の研修生は4名で、全員がIターン者だという。緑の雇用制度がはじまる前は、地元で人探しをしていたが過疎のため、なかなかなり手が見つからなかったという。
そこで6年前に労確センターやハローワークに依頼して全国規模で募集をかけた。その後で、緑の雇用制度ができたので、「タイミングがよく、いい制度ができたと思いました。指導員をつけて、安全面から教えることができます」と振り返る。
「うちの組合には、60から70歳の人がけっこういます。世代交代をスムーズにするためにも、若い人に入ってきてほしいです。町の活性化にもつながるので」と緑の雇用制度に大きな期待を寄せている。
研修生の住まいは、宮前常務さんが保証人になって町営住宅や民間の住宅を斡旋している。
「社会保険にも入ってもらい安心して働ける環境をつくっています。測量や重機などの資格を持っている人は、その資格が生かせるような仕事に就かせてあげたいと思っています」と研修生を受け入れる体制も万全を期している。
昨年は、はじめての試みとして山村境界保全事業に参加し、山林の測量作業を組合で引き受けた。今後も国土調査の仕事を広げていこうと町と話をしているそうだ。
「素材生産だけでなく、いろいろな事業に積極的に取り組んでいきたいですね」と抱負を語る。また、地域との交流や仲間同士の交流にも気を遣っていて、「町の運動会には組合で参加しています。ソフトボール部もつくって毎週水曜は仕事が終わった後に練習しています。 おととしの県の森林組合のソフトボール大会では優勝しました」。
気さくな宮前常務さんの元で、研修生たちは地元にとけこみながら森林のプロをめざしているようだ。


がんばれ、「緑の研修生」!

仕事以外にも楽しみを見つけ地元に溶け込むことが山で暮らしていくコツです。
神流川森林組合 中村 悟さん

中村 悟さん

中村さんは東京都出身。
以前は都市銀行の職員だったが平成15年度の「緑の研修生」になり、今ではベテランに混じって現場で汗を流している。中村さんに今の暮らしぶりを聞いてみた。
「山の仕事は、肉体労働ですからたいへんです。でも、空気がいいし、時間もゆっくりしています。太陽が出ている間は山で仕事をして、夕方からは地元の青年会とか、野球のクラブとかに参加して仕事一辺倒ではなく楽しくやっています」。
まだ独身の中村さんは単身者用の町営住宅に住んでいる。今では地元の同年代の知り合いもずっと増えたそうだ。
山の生活のこつを聞いてみると「地元にうまく溶け込むことですね。まわりに友達がいないと仕事で行き詰まったときに相談できずに一人で抱え込んでしまいます。近所に仕事と関係のない仲間がいれば、また違ったものの見方を発見でき、悩みが解消することもありました。都会にはない、田舎のつきあいの良さを発見することですね」。
しかし、中村さんも最初は余裕がなかったそうだ。「1年目は仕事に慣れるのがせいいっぱい。2年目から、余裕がでてきて町の行事にも参加するようになり、青年会にも入りました。
山が好きだから、山の仕事を究めるっていうのもいいんですけど、仕事以外の楽しみを知った方が、より山の暮らしの魅力がわかってくると思います」と語ってくれた。
最後に研修生に向けて、先輩からの一言をいただいた。「好きでこの世界に入ってきたと思うので、途中であきらめず、この土地でがんばってほしい。それだけの魅力はあると思います。一緒にがんばって行きましょう!」



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