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緑の研修生新聞 北海道篇
「緑の研修生」ニューストップへ 研修生の声 北海道の森林と林業 森林の知識
エゾマツ、トドマツ、カラマツなど、樹種に富んだ北の大地 北海道は、森林の面積も、丸太の生産量も全国一
旭川空港に降り立つと、一面銀世界だった。ビルの外の気温表示はマイナス5度を示している。めざす取材地は、ここからさらに北、道央自動車道を使って約2時間、上川郡下川町である。そこは、北海道を代表する森林の町。林業のこれからを模索し、具現化している地域だと聞く。北海道の林業の歴史はおよそ50年とまだ若く、その森林の樹種は本州とは大いに異なる。本州の天然林は常緑広葉樹が主体だが、北海道はミズナラ、シナノキ、イタヤ、カンバなどの落葉広葉樹が主体となる。また、人工林も本州はスギ、ヒノキが主体だが、北海道はアカマツ、トドマツ、カラマツなどのマツ科の樹木がほとんどだ。「北海道の木」として選ばれているのもエゾマツだ。エゾマツは、高さが40m、胸高直径は1〜2mにもなり天を衝くように見える。全道の森林面積は、約555万ヘクタールで全国第1位の広さ。丸太の生産量も全国一だ。そして、国有林・道有林の占める割合が68%と、全国平均の36%を大きく上回っているのが特徴的である。北海道では、人と自然が共生するみどり豊かな大地を実現するために「北海道みどりの環境づくりプラン―北のみどり21プラン」を策定している。また、森のはたらきを測るための新しい“ものさし”として独自の「森林機能の評価基準」を作成し、森林に対する理解を深め、道民との協働を進めている。

緑の研修生 北海道の「緑の研修生」は53名。いま、雪の森林で奮闘中!
全国一の面積を持つ北海道の森林を担う「緑の研修生」53人は、あとわずかで研修期間を終える。研修は昨年4月、美唄市において実施した集合基礎研修からはじまった。チェーンソーや刈払い機の扱い方をはじめ作業の安全についてなどの基本的なことを学び、各地域の森林の現場で約1年間の実施研修を行ってきた。これまで、地ごしらえ、植林、下草刈り、枝打ち、除伐、間伐など、さまざまな作業を体験。暑い夏の、背丈を超えるようなクマザサの下刈り、雪の森林での寒さと戦いながらの除間伐など、北海道ならではの大変な作業を乗り越え、森林のプロに一歩近づけるわけだ。この2月には復習も兼ねた集合専門研修が美唄市で行われ、4月には本格就業となる予定だ。そんな彼らこそ、森林の未来を担うかけがえのない力である。


カラマツ 北の台地が育てた木々は、住宅に、産業に、治山治水に、と幅広く活用されている。
北海道の人工林の主役はアカマツ、カラマツ、トドマツだが、中でもカラマツは、北海道の人工林面積の31%、蓄積量は51%を占め、国産材時代の主役といえる存在だ。カラマツは、スギなどに比べて強度が高く、耐久性に優れている。特に北海道産のカラマツは、細胞膜が厚く比重が大きいため耐圧力があり、釘の引き抜き抵抗が大きいのが特徴だ。北海道では、豊富なカラマツ材を集成材や合板、丸太、チップなどに加工し、さまざまな利用法でフル活用している。利用用途も実にさまざまで、集成材や構造用合板は住宅づくりに、カラマツ丸太は森や河川の治山治水工事に、カラマツチップは疎水材として農地の水はけを良くするための暗渠の施工に利用され、品質の良い農作物作りに役立っている。また、輸出向けの梱包材・パレット用製材としても関東・関西方面へ出荷されている。さらに音を吸収・遮断する木材の特性を利用し、高速道路用のカラマツ遮音壁が開発されるなど、幅広い分野で活用されている。


釧路台地の格子状防風林 北海道の大切な宝物、北海道遺産。根釧台地の格子状防風林もそのひとつ。

「北海道遺産」とは、次世代へ引き継ぎ、遺していきたい北海道の有形・無形の財産の中から選んだ道民の宝物。平成13年10月に第1回選定分25件が決定。そして、平成16年10月に第2回選定分27件が公表された。その宝物のひとつである、根釧台地の格子状防風林は、スペースシャトルからも撮影された地球規模のスケールを持つ防風林。開拓時代の殖民地区画を示す歴史的価値も持っている。本格的な造林が行われたのは、大正末期から昭和初期にかけてのこと。防風林は、幅180m、1 辺の長さが3kmにおよび、格子状に総延長約648kmにわたって続いている。防風林には、「減風効果」、「防霧効果」、「保温・保湿効果」、「風食防止効果」、「防音効果」、「防雪効果」など多様な効果があり、網の目のように配置されていることで、この地域一帯を原始の森林だった時のような気候環境に近づけ、気象を安定させているという。
また、エゾシカ、アカゲラ、エゾリスなどの野生動物のすみかや移動通路としての機能も持っている。防風林を、ホース・トレッキングや野鳥観察コースなどの観光資源として利用することや、山菜やキノコ類の栽培地として活用すること、林業体験などで一般の人たちが緑と触れ合うための空間としても活用していくことが考えられている。自然と人間の知恵が見事に調和した、たいせつな宝物だ。



下川町 北海道の北のふるさと、下川町は、森林とともに生きる町。
下川町は、北海道の中央部に位置する旭川からさらに北へ約100km。旭川空港から車で約2時間の距離にある。開拓されたのは明治34年。名寄川流域の肥沃な大地と豊かな自然に恵まれ、町の面積の約9割が森林という「森林のまち」だ。明治以来、御用林として管理され、関東大震災の際には大量の木材が復興材として搬出された。いま下川町では間伐・主伐によって生産した原木を、町内の工場で製品材に加工し、町内の住宅建設に活用している。また、おがくずは牛舎などの敷料として、チップは暗渠疎水材、木炭は融雪剤・土壌改良材として町内で活用していく循環型森林経営をめざし、森林とともに生きる町づくりをしている。


燻煙材 除伐・間伐材を有効活用。自然にやさしい防腐加工を施した燻煙材。
木材を煙で燻したら、どうなるのか?そんな疑問から生まれたのが下川町の燻煙材。カラマツの間伐材などを円柱に加工し、木炭製造の煙から採取する木酢液で煮沸。その後、木炭窯から出る煙で燻し、研磨加工する。煮沸することで木酢液の成分が木材中に定着し、耐腐朽、防カビ、防虫などの性能が向上。さらに燻煙乾燥させることで強度を損なわずに、ねじれ、狂いなどを抑える。林野庁森林総合研究所の研究者の指導と協力を得て下川町が完成させた技術だ。森林資源を無駄なく活用し、廃棄物がゼロ。薬品を使用した防腐処理ではないので環境に負荷を与えることもない。公園等のフェンス、緑化木支柱、木道、などの他、ログハウスなどの建築材としても活用されている。


FSC認証の森林 北海道初のFSC認証の森林。
FSC(Forest Stewardship Council)とは、森林管理協議会のこと。ドイツに本部を置き、環境団体、木材関係者、先住民団体などが中心となって、環境に配慮した適切な森林管理を進めるための国際的なNPOだ。FCSは、「森林環境を破壊しない、地域社会の利益になる、経済的にも持続可能」という3つのバランスを考えた森林管理の原則と基準を定め、その基準を満たしている森林に認証を与えている。また、認証された森林で伐採された木材から生産される製品には、信頼の証である「FCSのロゴマーク」が貼付される。下川町は、北海道ではじめてFCS森林認証を取得。100年先に豊かな緑の財産を残していこうとする町民の努力が、国際的な権威によって認められたといえる。
FCS認証森林の木材から生産された製品には、このFSCロゴマークが貼付される。


カラマツ炭素 集成材、木炭、チップなど、新しい森林の恵みづくりが進む。
下川町では森林から産出される木材のさまざまな活用法を見いだし、新しい森林の恵みづくりに取り組んでいる。例えば、集成材もそのひとつ。集成材とは人工乾燥させた木材から、大きな節や割れなど木の欠点を取り除いた引き板を作成。その板を木目にそって何枚も集成接着して作る建築材料のこと。狂い、割れ、ねじれ、曲がりが少なく、普通の木材に比べて力学的にも外観的にも優れているので、住宅建築の構造材などに利用される。下川町ではカラマツ、トドマツの間伐材を集成材の原料として活用。また、カラマツ、トドマツのチップは、農地の水はけを良くするための暗渠用の疎水材として利用し、カラマツ材を高温で炭化し粉砕した「カラマツ炭素」は、土地改良材や鶏や乳牛、豚の飼料添加物、融雪材として利用されている。そして、カラマツ・トドマツ木炭は有害物質を吸収する働きが高く、ホルムアルデヒドやVOC(有機揮発性の有害物質)の吸収能力が竹炭よりもまさっているため、住宅の床下などに敷く住宅用木炭として利用されている。


モミの木のアロマオイル モミの木オイルの自然の芳香でアロマテラピー。
マツ科の樹木であるモミの木からは、独特の芳香のあるモミの木オイルが抽出できる。下川町では、モミの木オイルを利用したさまざまな特産品を積極的に開発し、販売している。中でも人気が高いのがアロマテラピー用のエッセンシャルオイル。「エレクトラピュア」という高級品は、モミの木の葉のみを使い、オイルを抽出する。みずみずしいグリーンノートとクリアな香りの成分は、森林浴のα-ピネン、カンフェン、柑橘系のリモネンなど。森林の芳香が、精神のエネルギーを高め、やる気を起こさせる。また、血流や代謝を高め、気管支のトラブルにも効き目がある。手作りのため生産量に限りがある貴重品だ。その他にも、お部屋をいい香りで包むルームスプレー「森のミスト」や「ボディオイル」、「森のせっけん」、入浴用の「もみの木ウォーター」などの多彩な商品が揃っている。もみの木の葉を陰干しにして枕にした森林浴効果がある「もみの香りのピロー」も人気が高い。


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