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「緑の研修生」ニュース 三重県篇
 

「緑の研修生」の声

気候風土に恵まれ、森林資源が豊かな三重県。古くから林業が盛んなこの地で、森林の担い手をめざす研修生たちの声をお届けします。
日本のほぼ中央に位置し南北に細長い県土を持つ三重県。森林率は約65%だが、人工林率が約62%と高く、わが国有数の人工林地帯を形成している。なかでも尾鷲のヒノキや飯高のスギは全国にその名を知られている。また、ヒラタケなどキノコ類や造林用苗木、緑化木などの全国有数の生産県でもある。今回は、三重県の中央に位置する松阪市を訪れ、松阪飯南、大紀、宮川の森林組合で汗を流している「緑の研修生」たちに話を聞いた。



森林ボランティアが林業への入り口でした。
松阪飯南森林組合 三谷 明生さん

三谷明生さん 自動車販売会社に勤めていた三谷さんは、三重県のグリーンボランティアに参加し、そこで林業を体験した。
「屋外で身体を動かして働きたい、と思いはじめました。でも林業に転職するのは現実的ではないと思い、運送会社に転職したんです」。
しかし、その後も林業をやりたいという気持ちを捨てきれずにいた。そんなときに新聞広告で“森林の仕事ガイダンス”のことを知り、会場に駆け付けた。
「地元の鈴鹿森林組合で緊急雇用を受けました。しかし、鈴鹿では研修生を受け入れる予定がなかったので、いちばん近い松阪飯南森林組合に応募しました」と経緯を語ってくれた。
研修は、ボランティアとは違い、想像以上にきびしかったという。しかし、今はやっていける手応えを感じているという。
住まいは、組合が紹介してくれた1戸建て。過疎で住む人がいなくなった古い民家を借りている。
「3LDKで家賃が1万5千円です。風呂は五ェ門風呂なんですが、さすがに不便なのでガスの給湯設備を付けてもらいました。庭と畑まで付いています」と山村ならではの生活環境のようだ。
近所の人たちからも大切にされているという。
研修終了後は、組合の作業班に入って森林の担い手として第一歩を踏み出す。
「ボランティアが入り口なので、環境保全に貢献できることがいちばんのやりがいですね」と笑顔で語った。。


もっと技術を身につけ、林業を続けていきたいです。
松阪飯南森林組合 間々田 隆史さん

間々田 隆史さん 高校卒業後、福岡から松阪の紡績工場に就職した間々田さん。
仕事にストレスを感じ、工場を辞めて求職活動をはじめた。そのときインターネットで和歌山県の就業相談会のことを知り、相談に行った。
そこで8カ月間、緊急雇用で林業を経験し、土地勘のある松阪に戻って研修生になったそうだ。
研修での苦労を聞くと、「体力的にきついのはもちろんですが、危険の度合いが大きいのにも最初は驚きました。かかり木処理など、経験がないと予測がつかないことが起こるので気を使います」。
しかし、経験を積むにつれ仕事がおもしろくなってきたそうだ。「1年前に比べてだんだん大きな木を伐れるようになりました。変化が大きい仕事なので、やっていておもしろいです」と答える。
今、やっているのは出材のための間伐。
「切捨間伐と違い、ちゃんと倒さないといけないので難しいです」。
昨年10月に結婚したばかり。奥さんは地元の人で、研修先に三重県を選んだのもそれが理由だったそうだ。今は奥さんの実家の近くに住まいを借りている。
現場まで車で1時間以上かかり、少し遠いのが悩みの種。
「今、やりはじめたばかりなので、もっと技術を身につけ、続けていきたいです。どんな作業でも、うまくいくとうれしいですね。自分でやったことが、自分の目で見られることがいいところです」と語る。


林業は、環境に貢献できる仕事。それが大きなやりがいになっています。
大紀森林組合 山添 暢紀さん

山添 暢紀さん

「どうしても地元で働きたかったので研修生になりました」と語る山添さんは、大学を中退し、2年間ほどアルバイト生活を送っていた。
「お祖父さんが林業をやっていたので、子供の頃から山仕事を見て育ちました。高校も林業科だったので林業をやろうと思いました。家族も喜んでくれています」とのこと。
高校では野球、大学ではバスケットをやっていたスポーツマン。「体力には自信があるので、つらいことは特にありません。木を伐っているときは気持ちがいいです」と満足そうだ。
毎朝、組合に7時半に集合し体操をしてから現場へ。午後の4時には仕事が終わる。今の組合は、日曜と第2、第4の土曜日が休みだそうだ。
どうして地元で働きたいと思ったの?と聞くと「生まれて育ったところですから、いちばん愛着があります」と答えた。
研修終了後は今の組合の作業班に入って腕を磨きたいという。「作業班で働いて組合に貢献することは、町に貢献することにもなります。環境にも貢献できるので、それが大きなやりがいになっています」と林業への想いを語る。
今の班長さんは気が若く、何でも相談に乗ってくれるそうだ。
「自分なりに大きな木も伐っているつもりだけど、まだまだです。将来は班長さんのように名人と呼ばれるようになりたいですね」と大きな目標も持っている。。



子供の頃、山仕事を手伝ったのが林業を志すきっかけでした。
大紀森林組合 谷口 有希さん

谷口 有希さん 谷口さんは、三重県最南端の紀宝町出身。
お父さんは熊野川の瀞峡(どろきょう)で観光船の船長さんをしているという。家には山があり、お祖父さんが紀州鉱山で銅を掘るかたわら山仕事をしていた。
子供の頃は、お祖父さんに連れられて山に入り、手伝いをしていたそうだ。そんな体験があるので自然と林業を志すようになった。
何故、故郷から離れた大紀町の森林組合に?と聞くと、結婚したばかりの奥さんの実家が近いからとの答えだった。
20歳の時に結婚し、今は11カ月の娘さんがいる、若いお父さんだ。
「仕事はおもしろいです。体力的にも大丈夫でした。1年の研修を経験して林業をやっていく自信がついてきました」と頼もしい発言。
聞けば高校時代は野球部でライトを守っていたそうで、体力には自信があったようだ。
今の住まいは組合の紹介で借りたもの。毎日、奥さん手作りのお弁当を食べるのを楽しみにしているという。大紀町は、海も山もありいいところだという。
何か名物はあるの?と聞くと「シイタケが名物です。大きくて、おいしいですよ」と教えてくれた。


山の自然が好きなのでこれはいい仕事だと思いました。
大紀森林組合 中垣内 和行さん

中垣内 和行さん 地元、大紀町出身の中垣内さんは、農業をやりながら土木関係の仕事をしていた。
「田舎育ちだから、山の自然が好きなんです。それで林業をやりたいと思いました」と林業への転職を考え、ハローワークで緊急雇用に応募した。
「仕事をやってみて、すっかり気に入りました。これはいい仕事だなあと思い研修生にも応募しました」と語る。
しかし研修では、山歩きがつらかったそうだ。夏は山ヒルが出て、それが嫌だったという。「山の木の上から落ちてくるんです。地下足袋をとめているゲートルの間から入ってきて靴下の上から血を吸う」と生々しい体験を話してくれた。
防御策は?と聞くと「ハッカ液を上からかけます。山ヒル用のスプレーもあります」と教えてくれた。
今は列状間伐の仕事が多いそうだ。中垣内さんは建設機械の資格を持っているのでスイングヤーダを扱うこともあるそうだ。
「倒した木はスイングヤーダで上げます。建設機械と違いスイングヤーダは指先で細かい操作が必要。難しいです」。
自宅には田んぼが3反ほど。山も少しあるという。「土木の仕事は終わるのが遅かった。その点、林業は定時に終わるのでいいですね。日の長い季節なら家に帰ってから農作業もできます」と微笑んだ。
最後に、「私も研修生になる前に、この研修生ニュースを読んだことがあります。いろいろな体験をしている人がいるのだなあと感心しました。私も負けないようにがんばっていこうと思っています」と締めくくってくれた。


山登りはつらいが、大きな木を思い通りに倒せたときは快感です。
宮川森林組合 小山 善衛さん

小山 善衛さん
「鋳物工場に19年、勤めていたんですが景気が悪くなり、希望退職しました。その後は、トラックの運転手をやっていました」という小山さん。 最初は、林業に特別関心があったわけではなかったという。
「ハローワークで仕事を探していたんですがなかなか見つからず、たまたま宮川森林組合の緊急雇用があったので応募しました。家からも近いし、定年も長いのでいいなあ、と思ったのがきっかけです」と語る。
周りが山ばかりの所に住んでいるので、山仕事のことは知ってはいたが、自分がやるとは思っていなかったそうだ。
「勤まるか、勤まらないかやってみないとわからない」と思い、とにかくチャレンジしてみた。
「山を登るのが、想像以上にきつかったですね。今は大分慣れました」と苦労を語る。
聞けば、宮川村は昨年の台風で林道に被害が出て、現場まで林道が使えず、麓から登っていくことが多いそうだ。「現場まで麓から2時間ぐらい登っていくこともあります。重い荷物を背負ってなのできついですね。現場に着いてからの作業は楽しいです。思った通りに木を倒せたときはうれしいですよ」。
研修では作業道づくりから間伐、枝打ちといろいろな作業を経験し、興味もわいてきた。研修終了後は作業班に残って林業を続けたいと思っているそうだ。


林業に転職して、生活にゆとりができました。
宮川森林組合 堤 崇さん

堤 崇さん
堤さんの前職は、割烹料理屋の板前さん。
結婚をきっかけに実家の近くに家を新築し、そこから勤め先に通っていた。しかし、通勤に時間がかかりすぎるので地元の働き口を探したが、なかなか見つからずハローワークで宮川森林組合の緊急雇用を見つけて応募した。それが林業との出会いだったという。
「林業は身体が疲れる仕事だけど、労働時間が短いのがいいですね。板前の時は1日13時間ぐらい働いていました。今は夕方には仕事が終わるので自分の時間をたくさん持てます」と満足そうだ。
何か趣味があるの?と聞くと「今は“変木”を作るのに凝っています」とのこと。山で木の根っこなど形がおもしろい木を拾ってきて、磨いてオブジェを作るのだそうだ。
「あとは庭に池を作ってアマゴを飼っています」。どちらの趣味も班長さんに教えてもらったそうだ。班長さんのことを聞くと「この道35年の名人で、すごい技を持っています。一つの仕事を終えると、すぐに次の仕事に取りかかり動きに無駄がありません。人に教えるのも上手」と大きな信頼を寄せている。仕事だけでなくライフスタイルの師と仰いでいるそうだ。
林業に転職して、新しい趣味もでき、生活にゆとりができたという堤さん。いい先輩たちにも恵まれ、天職を見つけたようだ。


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