ringyou.net 「緑の雇用」総合ウェブサイト
「緑の研修生」ニュース 長崎県篇

「緑の研修生」の声

海に囲まれた長崎の急峻な山々で
森林を守り、育てるために技術を磨く研修生の声。

九州の西端に位置する長崎県は、対馬、壱岐、五島など島が多く、リアス式海岸の入り組んだ海岸線に囲まれ海岸線の長さでは北海道に次ぎ日本で第2位を誇っている。県の中央部に大村湾があり、その西側と東側では気候にも差がある。樹種も西側ではヒノキが8割を占め、東側ではスギ、ヒノキが半々となっている。平地が少なく、山地から海岸までの距離が短いため急勾配の斜面が多い。

今回は、長崎南部森林組合を訪れ、厳しい自然環境の中で明日の森林の担い手をめざす「緑の研修生」の声を聞いた。



研修生になって、天職を見つけました。
長崎南部森林組合 西海支所 田中 守さん(平成19年度 基本研修生)

田中 守さん 建設業から電気工事の仕事を経て転職してきた田中さんは、「前の仕事は、景気が悪く仕事が入らず、休みばかりだったので辞めてしまいました。失業中に近所の人に教えられて緑の研修生になりました」と話す。
それまで、林業のことはまったく知らず、最初は不安でしかたなかったそうだ。「口で説明されるとできるような気になりますが、実際やってみると難しいですね。まだ苦労しています」と苦笑する。
朝は6時半に起き、7時過ぎに現場に行き、ミーティングの後、8時から5時まで作業をしている。楽しいのは休憩時間だそうだ。先日は、休憩中にイノシシの家族と遭遇したという。「20mぐらい離れた所に7、8匹のイノシシの群れが現れました。ウリ坊もいたので家族だと思います」。
最初は自信がなかった田中さんだが、徐々に体力もついてきた。「前とは比べものにならないです。日に日に技術も身についていく感じがします。チェーンソーの目立てなど、最初の頃とは比べものにならないほど上達しました」と笑ってみせる。「大きな木を倒すのが気持ちいいですね。家の近所に、大きな木はあの人でなければ伐れないと言われる名人が何人かいます。自分も技術を磨き、そう言われるようになりたいですね。いい職業に就いたと思っています。林業を天職にしていきたいです」と語った。


自分の技術を磨いて早くベテランに追いつきたい。
長崎南部森林組合 長崎支所 永瀬 心さん(平成19年度 基本研修生)

永瀬 心さん 名古屋モード学院でインテリアを勉強していたという永瀬さん。建設業を経てフリーターをしていたが、近所の人が森林組合に勤めていて、やってみないかと誘われた。「最初は、山を歩くだけでへとへとでした。チェーンソーや刈払機のキックバックにもびっくりしました。道具を使うときは、気をつけないと本当に危険ですね」と話す。一度、広葉樹を伐るときに芯抜きをせずに伐ったら、途中で木が裂けてしまい、大きな枝が落ちてきて肝を冷やしたこともあるそうだ。
林業をやってみた感想を聞くと、「おもしろいですね。ずっと続けていこうと思っています。肉体的にはきついですが、他の面はいいです。毎日、自然と接していられるのが楽しい。休憩時間に、ベテランの人に教えてもらって自然薯を掘ったり、グベというアケビに似た果実を採ったりしています。他の仕事では味わえないことですね。
給料は、自分の場合はフリーターの時とそれほど変わりませんでした」。一方、「怖いのはケガですね。夏にハチに刺されてしまい腕から首まで腫れました」と答える。
今後のことを聞いてみると、「腕をもっと上げて、ベテランに追いつかないといけませんね」。休みの日は彼女とデート、ということが多いそうだ。そろそろ結婚を考えているの?と聞くと笑いながらうなずいた。一日も早く、技術を身につけた森林の担い手となって欲しいものだ。


林業は、やりがいのある仕事。この達成感は他の仕事では味わえない。
長崎南部森林組合 大村支所 松尾 信男さん(平成19年度 基本研修生)

松尾 信男さん 県立園芸高校の造園科を卒業した松尾さんは、10年間ほど造園の仕事をしていた。林業に興味を持ったのは、造園の仕事をしていたときに、すぐ近くで林業の作業員が風倒木処理をしているのを見たことだ。興味を持った松尾さんは、すぐに今の大村支所の支所長さんに会い、募集があったら教えてくださいと頼みこんだ。
「もっと安定した職に就きたかったので、森林組合で働きたいと思いました。それと、造園の仕事は2人でやっていたので周囲に仲間がいませんでした。今は、自然の中で先輩たちから仕事を教わりながら、たくさんの仲間ができたことがいちばんうれしいです」と話す。
目標は、班長さんのようになることだという。「すべてがすごい人です。仕事ができ、みんなに尊敬されています。全部を見習いたいですね。自分も班長のような林業家になりたいとがんばっています」。
今は主に間伐の仕事をしているそうだ。「山がきれいになって、森林の中に日が差してくると気持ちがいいです。林業は危険な仕事ですが、とてもやりがいがある仕事です。仕事を終えた後の達成感は他の仕事では感じられないと思います。この気持ちは、やった人でないとわからないでしょうね」と微笑んだ。


子供たちのためにも林業を長く続けていきたい。
長崎南部森林組合 大村支所 峰 勝也さん(平成19年度 基本研修生)

峰 勝也さん 「学校を出てから建設業をしていましたが、辞めて仕事探しをしているときに、森林組合にいる先輩から誘われたのが林業に就くきっかけになりました」と峰さんは話し始めた。「住んでいる地区で分収林を持っていて、年に何回か当番で山仕事を手伝っていたので、林業がどんな仕事かは大体のイメージを持っていました。
家族がいるので、前の仕事よりも福利厚生面がしっかりしていたことも転職の大きな動機になりました」。お子さんは男の子が2人、女の子が1人だそうだ。「前の仕事では家に帰るのが早くて8時過ぎ。今は6時には家にいるので、家族との時間を十分に取れるようになりました」と生活も落ち着いてきた。
研修で苦労した点を聞くと、「急斜面の山登りがきつかったですね。夏の暑さもこたえました。でも続けているうちに体力がついてきて、風邪も引かなくなりました。林業は、心も体も健康になる職業ですね。作業班の先輩たちも元気な人が多いです」と話してくれた。
好きな作業は下刈りだそうだ。「木を伐るのもおもしろいですが、自分は下刈りをしてきれいになった森林を見るのが好きです。やったぞ!という気持ちになります」。
将来の夢を聞くと「子供が立派に育ってくれることです。そのためにも、林業を長く続けていきたいです」と優しいお父さんの顔になった。

指導員・受け入れ側の声

安全な作業のためには目配り、気配りが大切です。
長崎南部森林組合・大村支所 指導員 串崎 洋一 さん

串崎 洋一 さん 串崎さんは、林業歴35年の大ベテラン。実家は農業と林業を営んでいて、子供の頃は地拵えや植林を手伝っていたそうだ。お兄さんが跡を継ぎ、一時は大阪で会社勤めをしていたが、お兄さんが出稼ぎ先で架線集材時の事故で亡くなり、それから実家に戻ったという。
「兄を事故で亡くしているので、とにかく安全には気を遣っています。初心者は何が危険で、何が安全かもわからない。その都度、安全確認をするようにしています。それと、道具はちゃんと伐れるように目立てをきちんとしておかないといけません。伐れないと力で道具を振り回すようになり無理をするので危険です。疲労してくると注意力も散漫になる。よく伐れる道具なら、気持ちに余裕も出てきます」と、安全作業には、道具の手入れが大切であると訴える。
「自分の作業だけでなく、他の人が木をどちらへ倒そうとしているのか、倒れてきたらどうすればいいか頭の中で必ず考えておけ。目配り、気配りをして周囲の状況を確認しながら作業するようにと言い聞かせています」。
林業にはどんな人が向いていると思いますか?と聞くと、「気長に自然とつきあっていける人、胸に誇りを持っている人かなあ。ここの現場の近くに10年前に地拵えをして植林をした山があるのですが、行ってみると植えた木がちゃんと大きく育っていました。そういうことに喜びを感じる人が林業には向いていると思います」と話してくれた。


1年間の研修を終えると、みんなの顔つきが変わってきます。
長崎県森林組合連合会 「緑の雇用」担当 松本 圭生(たまき)さん

松本 圭生(たまき)さん松本さんは、「緑の雇用」事業が始まった平成15年度の途中から「緑の研修生」の担当をしている。長崎の第1期の研修生から現役の研修生まで、全員の顔と名前がわかるそうだ。「研修期間の最初と最後に全員を1ヵ所に集めて行う集合研修があるのですが、最初と最後では研修生の顔つきや態度が見違えるほど変わってきます。現場に行っても1年の研修を終えた人は、身体も締まってきているし、動作も機敏になっているのがよくわかります。山の知識も豊富になっていて、とても頼もしく感じます。研修の成果がちゃんと出ているんですよ」と話す。
いちばん気にかけているのは、やはりケガのこと。「研修生は山仕事に慣れていないから、チェーンソーのキックバックで身体を切ってしまったり、斜面で滑って腰を打ったりというケガが多いです。とくに慣れてきた頃がいちばん危ないのでとても心配です」と研修生を気遣う。「壱岐に女性の作業員が一人いらっしゃるのですが、まだ女性の研修生はいません。長崎では、即戦力になる若い男を希望する事業体が多いのですが、私としては女性にも入ってきて欲しいと思います」。



このページのトップへ
copyright(c) 2006 ringyou.net. all rights reserved. プライバシーポリシープライバシーポリシー  サイトマップサイトマップ