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「緑の研修生」ニュース 静岡県篇
「緑の研修生」の声

「緑の研修生」の声

天竜は、奈良・吉野、三重・尾鷲と並ぶ日本の三大人工美林。伝統ある林業地の明日を担う研修生の声を聞きました。

日本列島のほぼ中央部に位置する静岡県は、北部には富士山や赤石山脈などの3,000m級の山々がそびえ、そこから流れる狩野川、富士川、安倍川、大井川、菊川、天竜川などの大河川が県土を縦断している。今回、訪れたのは静岡県の北西部で南アルプスに隣接している天竜地域。古くから林業が盛んな地で、15世紀の中頃には春野町にある秋葉神社で人工造林が行われていたという記録がある。また明治時代には、金原明善翁が「川を治めるためには上流の山を治める必要がある」と大規模な植林を実施し、今日の天竜林業の礎を築いた。
今回は、天竜地区の3つの森林組合から「緑の研修生」に集まっていただいた。



林業以外の仕事に就くことは、まったく考えて いませんでした。
龍山森林組合 長谷川友寛さん

長谷川友寛さん 長谷川さんは地元の天竜林業高校を卒業後、静岡県農林大学校へ進んだ。高校に入ったときは、林業をやろうとは思っていなかったが、実際に山仕事の現場を見てやってみたいと強く思いはじめたそうだ。「でも、初めはつらかったです。わからないことばかりだったので精神的に疲れました。体力的にきついことは最初からわかっていたので覚悟していました」と振り返る。研修は、下草刈りなどの基礎から始め、間伐まで行ってきた。重機の資格も取らせてもらったそうだ。初めて木を伐ったときの感想を聞くと「怖かったですね」と苦笑する。最初に伐った木がかかり木になってしまい、先輩に手伝ってもらったそうだ。「両親は、林業とはまったく無縁で、最初は危険なのと休みが少ないので反対されました。それでも、やりたい仕事に就きたいという気持ちの方が強かったです。林業以外の仕事はまったく考えていませんでした」と語る。これからの林業について聞くと「山だけにこだわらず、都市に出て行ってもいいのでは。公園の緑地整備など都市の中にも仕事はあると思います」と仕事の多様化の必要性を主張している。


山は、いい仕事場だと思います。空気もいいし、毎日変化がある。
天竜森林組合 佐々木真嗣さん

佐々木真嗣さん 天竜林業高校を昨年卒業した佐々木さんは、今の組合に就職したいと思い、会社訪問をしたり、組合が主催する林業体験などに積極的に参加したりして“やる気”をアピールしたそうだ。そのかいあって、組合に入ることができた。後から、「やる気があったから採用したんだよ」と上司に言われ、それに応えられるよう一生懸命やっているという。研修の感想を聞くと、「山仕事をこれから始めようとするたくさんの仲間と知り合うことができたのが、いちばんうれしかったです」と微笑む。「山は、いい仕事場だと思います。空気もいいし、毎日変化がある。春には山菜、秋にはキノコ、川の側の現場なら昼休みに魚捕りもできます。仕事をしながら、遊びもできる仕事なんて他にありません。山のたき火で焼いたシシャモの味は、いままででいちばん美味しく感じました」と、林業の楽しさを発見したようだ。佐々木さんは高校のときから趣味で和太鼓を叩いていて、今も地元のサークルに入って活動している。「地域のイベントなどに出演しています。今は、仕事も趣味もとても充実しています」と笑顔で答えてくれた。


「100年先に届ける仕事」 というフレーズに惹かれました。
春野森林組合 斉藤義人さん

斉藤義人さん 横浜出身の斉藤さんは北海道の大学に進学し、そこで自然に興味を持ち卒業後はガーデンセンターに勤めていた。しかし、もっと自然の中で働きたいと思い、林業への転職を志した。「就職活動中に“100年先に届ける仕事”というフレーズの緑の雇用のポスターを見て、すぐにパソコンで検索して情報を集めました」という。まずは自分の適正を見てみようと思い林業支援講習会を受講。わざわざ熊本まで行き、ウィークリーマンションを借りて講習会に通ったそうだ。その後、静岡県の就業説明会で今の組合を紹介された。今の組合から電話で、「ぜひ一度、春野の町を見てください」と言われ、すぐに家族を連れてやってきて、すっかり気に入り、ここで働くことに決めたという。「林業は森林を育てるというイメージがあったので、木を伐ることに抵抗があったのですが、森林を育てるには間伐が必要なことがわかり、今はやりがいを感じています。今の住まいは町営住宅です。将来は、畑でも借りて野菜作りもしたいですね」と語る斉藤さん。すっかり地域の生活にとけ込んでいるようだ。



これからは国際的な視野を 持って林業経営を進めていかなければ。
春野森林組合 森山隆明さん

森山隆明さん 島田市の出身の森山さんはサラリーマンをやっているときに一次産業の発展が人々の暮らしをよくするには重要なことだと思い、海外へ農林業支援活動をしているNGOに転職した。その後、自らも自然の中で働こうと思い、昨年の森林の仕事ガイダンス東京会場へと足を運んだ。そこで林業支援講習会を受けることにした。また、静岡県のブースで今の組合も紹介されたのだという。実際に山仕事を体験した感想を聞くと、「頭でわかっていても、実際やると身体がついていかない。体力、身体のキレともに予想どおりダメでした」と苦笑する。体重は8L減った。今後の林業について意見を聞くと、「世界各国で森林環境保全が徹底され、これからは今までのように外材を輸入できなくなると思います。国内の林業事業体が、一般企業並の経営思想やノウハウを取り入れて行くことができれば、近い将来必ず盛り返すことができると思います。地元の山も大切ですが、これからは国際的な視野を持って林業経営を進めていかなくては!」と大きな展望を持っている。

受け入れ側の声

今は焦らずに基本をしっかり学んで欲しい。
龍山森林組合 指導班 班長 砂子 拓さん

砂子 拓さん 林業歴20年の砂子さんは、指導班の班長になって3年。出身は、宮崎県椎葉村で、実家も林業をしていて、子供の頃から山仕事を手伝っていた。地元の農業高校の林業科を卒業後、静岡県立農林大学校に進学し、そのときに今の組合で林業研修をして、それが縁で働くことになったという。研修で教える際の留意点を聞くと「まずはケガをさせないこと。しかし、ときには少し無理をしないと成長しない場合もあります。その兼ね合いが難しいですね」と答えた。今、受け持っている研修生は1名。他に技術高度化研修生が2名いる。下刈り、除伐、枝打ちと基礎は教えてきた。これからは地ごしらえの研修を行うという。「仕事は、山主さんの気持ちになって、丁寧に、素早くやらなくては。ただ、こなせばいいという気持ちではだめ。今は、教材を与えてもらっているという気持ちになるように、と教えています。プロになる、匠になる、というのはまだまだ先の話。今は焦らずに基本をしっかり学んで欲しいですね」と研修生を思いやる優しい指導員だ。


働きたい人と雇いたい人を、うまくつなげていきたいです。
静岡県森林組合連合会 原川愛香さん

原川愛香 さん静岡県森林組合連合会で「緑の雇用」の担当をしている原川さん。研修生と直接顔を合わせることはあまりないが、受入事業体からの質問に答えたり、各種申請を手配したりして、「緑の雇用」事業の円滑な進行を裏で支えている。大学は森林科学科で、森林関係の仕事に就きたくて地元の森林組合に相談にいったところ、県森連を紹介され今の職に就くことができたという。そんな経験があるので、就業希望者の気持ちはよくわかるという。「このあいだも県森連に林業をやりたいという若い人がたずねてきました。聞くと私と同じ年。こうしたらいいのでは、と私なりにいろいろアドバイスしてあげました」という。「事業体の皆さんからも若い人が欲しいという声をよく聞きます。私たちが仲人役になって、未来の担い手づくりに貢献できたらと思います」と語る。林業の魅力は?と聞いてみると「林業は、私たちの生活を支えている森林を守り育てる仕事。大変だけど、やりがいのある仕事だと思います」と元気よく答えてくれた。


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