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この木なんの木?

その葉は、日本の広葉樹の中で、いちばん大きいかも知れません。

山の中を歩いていると、一本だけこの木がすっと立っている姿をよく見かけます。それが5月から6月頃であれば、見上げた枝の先には白い大輪の花が見られ、辺りにはいい香りが漂い、思わず足を止めさせられます。豊かな大きい葉も、その形といい色といい、実に美しい。森の中で人知れず立つ孤高の木。ほとんど群生することのない我が国特産のこの木は、ホオノキです。モクレン科モクレン属で、木蓮はもちろん、こぶし、大山れんげなども同類。北から南まで日本の各地の丘陵や山地に分布しています。

5・6 月、大輪の芳香ある白い花をつける。
 
 
 
 

大きくなる高木で高さは30メートルほどにもなり、灰白色のきめ細かな樹皮を持っています。葉は大きく、長い卵形をしていて長さ40センチになることもあり、トチノキと双璧をなします。また、強いアレロパシー(他感作用)を示すことで知られますが、アレロパシーとは他の植物の生長を抑制する物質を出して自分を守ること。落ち葉や根などから他感物質が分泌され、種からの発芽や発芽した植物の生長を強く抑えます。そのため、この木の下には草が生えにくく、落ち葉の堆積が目立つのだそうです。香りがよく、殺菌作用があり、適当に油を含んでいる大きい葉は、昔から食べ物の保存や食器がわりに用いられてきました。朴葉寿司、朴葉餅などのほか、落ち葉となっても火に強いため、葉の上に味噌などをのせて焼く朴葉味噌も、岐阜高山の郷土料理として有名ですね。

昔から食器代わりに用いられてきた大きい葉。

生長が早いわりに、その材は緻密。狂いやひび割れも少なく、ヤニも少ないために加工がしやすく、いろいろなものに利用されています。下駄の歯(朴歯下駄)をはじめ、漆器の木地、曲げ物、箱、彫刻、版木などの材、鉛筆やマッチの軸、はてはピアノやオルガンのキーまで、利用範囲は多種多様です。さらに、緑がかった色合いや心地よい肌触りから、無垢のフローリング材としても用いられています。意外なところでは、柔らかで均質な炭が、金銀器や細工物の研磨用に用いられるほか、かつては樹皮をはぎ取って乾かし、煎じて健胃剤や腹痛の薬にしたともいい、昔から大いに役立ってきた木といえます。

● 取材協力:多摩森林科学園 http://www.ffpri-tmk.affrc.go.jp/
● 参考:書籍 木(白洲正子著・平凡社)/ ホームページ えれきてる・シリーズ自然を読む 樹木の個性を知る/ ホームページ フリー百科事典・ウィキペディア
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