建築の仕事も、最初は彫刻家として店舗等のモニュメントを制作するために入社したが、やがて全体の管理も見るようになってしまったのだという。
林業を目指そうと思った理由を聞いてみると、「実は、最初から林業を目指していたわけではありませんでした。私は石の彫刻をやっているのですが、制作するには広いスペースが必要です。大きな音もでるので町中では近所の迷惑になってしまいます。そこで、田舎でアトリエの候補地を探していたのですが、なかなか見つからず、ならば先に田舎で働ける職を探し、移住してからアトリエを探そうと思ったのです」と話す。
ハローワークで仕事を探し、今の会社の求人を見つけたのが研修生になるきっかけとなった。「面接の時に課長から、山仕事をやるにはギリギリの年齢だぞ、前例がないからやっていけるかどうかわからん、と言われたことに発憤してしまい、ならばその前例を作ってやろう!と意地になってしまいました」と笑う。
しかし、山仕事は想像していた以上にきびしかった。
「体力には自信があったのですが、自信だけではだめだということがわかりました。最近、身体がやっと斜面に慣れてきました。斜面での作業は、力だけではだめだと言うことを、嫌と言うほどわからされましたね」と話す。
いちばんたいへんなことは?と聞くと、「山仕事は、次の行程や状況を想像できないと危険予知ができません。ただ闇雲にまっすぐ進んでいけばいいというものではない。頭を使う仕事です。判断するための時間も少ないので、人間的ストレスは無くなりましたが、頭を使うストレスが増えました」と答える。
会社の雰囲気を聞いてみると、「うちの会社は、熱い人間が多いので面白いです。前の会社では、自分一人が熱いので浮いてしいましたが、今は周りがみんな熱いので平気です」とにやりと笑う。
彫刻家としての作品づくりは?と聞いてみると、「本当は山仕事も彫刻もバランスよくやって行きたいのですが、今は一人前の山師になる方の比重が高いです。でも、そのことにまったく不満はありません」と力強く答えた。
ガイダンスの研修生ブースでは、同年代で転職に迷っている人からの相談も受けたそうだ。「ハローワークの求人から知識もなく飛び込み、意地を糧にして乗り切りました、と自分の経験を正直に語りました」と話す。
山仕事もこなす彫刻家が、将来どんな作品を創るのかとても楽しみだ。
|