日本伐木チャンピオンシップ(JLC)

第3回 日本伐木チャンピオンシップ2018
「緑の雇用」出身者 出場選手インタビュー

はじめに

 

 林業の担い手育成支援事業として実施している“「緑の雇用」事業”では、JLC(日本伐木チャンピオンシップ)を通じて「緑の雇用」事業の認知促進や、新規就労希望者の拡大を図るとともに、「緑の雇用」現場技能者(フォレストワーカー等)の労働安全意識の強化を図るため、JLCの取り組みを応援しています。

 2016 年の第2回大会には11名もの「緑の雇用」出身者が参加し優秀な成績を収めています。さらに、2018 年に開催される第3回大会には多くの「緑の雇用」出身者がエントリーを予定しています。

 そこで、第3回大会にエントリーしている「緑の雇用」出身者の中から3事業体6名(うち1名は日本代表として第31回、32回の世界伐木チャンピオンシップに参加)の方に、林業における現場技能者としての仕事の内容、魅力、やりがい、普段の作業現場での安全管理に対する意識や取り組み、さらにはJLCへの参加にあたっての抱負などをインタビューし、まとめましたので紹介します。

WLCとは

世界伐木チャンピオンシップ( 以下、WLC ) は、世界伐木チャンピオンシップ協議会( 以下、ialc ) が主催する45年以上の歴史を持つ由緒ある林業技術の大会です。近年では隔年でWLC が開催されており、ヨーロッパを中心に約30カ国、100名を超える選手が参加しています。WLC は、林業技術及び安全作業の向上並びに林業の仕事を広く一般に広め、林業の社会的地位向上を図ることを目的としています。また、WLC は将来の林業を担う若手の育成にも力を入れており、将来の担い手のエンパワーメント及び人材間の交流を行っています。

インタビュー

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先ア 倫正選手
大学を卒業後、林業の世界に飛び込んできた先アさん。現場技能者としての経験年数が5年とまだ若いながらも2 度のJLC入賞、そして世界大会を経験してきた。5年間積み上げてきたチェーンソーマンとしての経験とJLC、WLCへの参加を通して、自身の仕事や生活へ の変化をお聞きした。

日々チェーンソーマンとしてスキルを磨き、さらなるステップへ。

Q

林業に就かれたきっかけを教えてください。

先ア
 仕事を始める前は、大学で経営法学を学んでいました。卒業後は実家が林業を営んでいたこともあり、「緑の雇用」の研修生として 3 年間学びながら現場で働きだしました。チェーンソーを使ったのも仕事を始めてからです。
Q

現場技能者として5年目になりますが、はじめの頃をふりかえっていかがですか?

先ア
 現場作業は山に慣れるまで体力的にきついというイメージがあると思いますが、自分に合っていたのか、慣れるまでそこまで時間はかかりませんでした。本当にきついと思ったことはほとんどありませんでした。あと、あの頃は今よりは少し若かったからかなとも思います(笑)
Q

現場での普段の仕事内容や一日の流れを教えてください。

先ア
 チェーンソーでの伐倒がメインの作業です。会社には高性能林業機械やトラックなど一通りありますが担当が他にいますので自分ではほとんど乗らないです。自分自身すべて操縦できるかあまり自信がないですし(笑)
 普段は大体 6時には会社を出て7時には現場に到着します。会社には自分含めて現場技能者が 10名程おり、1つの現場を全員で作業することがほとんどです。作業前には、ミーティングを行ないその日の作業方針や作業上で注意すべき点、KY(危険予知活動)などを話し合い、そこから作業を開始しています。お昼は現場ごとに拠点(小屋)があるので、そこでお弁当をチェーンソーマン同士で食べることが多いですね。大体 15時前には現場を切り上げて 17 時前には仕事は終わりになるので、それ以降は自由に時間を使えています。朝が早いので 21 時には自然に寝られて、一定のリズムが出来ています。
 冬は雪が多い地域ですが、雪が積もることで、作業しやすくなる現場もあるので、一年中現場に出ています。夏の現場は暑いですが、その分仕事終わりのビールは最高に美味しいですね!
Q

現場作業時以外ではどのような安全対策活動をしていますか。

先ア
 現場でのミーティング以外は会社でリスクアセスメント※をしています。「緑の雇用」の研修生は、月2回書くようにしていますし、その他の人も月に1回は実施するようにしています。また書いたものを全員が閲覧できるように、手書きから現場代理人(現場をまとめる人)がパソコンで入力して印刷し、用紙を日報と一緒にファイルに綴じたりしています。
  ※リスクアセスメントとは、「作業がどれくらい危険か(リスク)をランクづけし、事前に評価(アセスメント)すること」です。
 リスクを小さくする知恵をみんなで出し合い、考えようとするものです。
Q

5 年前と今で、普段の仕事内容に変化はありましたか?

先ア
 チェーンソーマンとしては変わらず5年やってきて、会社の中では新しく入ってきた後輩へ伐倒を教えたりしています。最近では現場から帰って来て、事務仕事も手伝うようになり、役割が増えて、大変ですが、会社の経営的なところに少しでも関わることが出来て、自分自身も責任感が増したように思えます。

教えられる側から教える側へ。より学ぶことが増えた。

Q

会社での普段の仕事以外にも活動されていることはありますか?

先ア
 「緑の雇用」の研修生(FW/フォレストワーカー)に対してのチェーンソー技術やメンテナンスの指導を年に数回、講師として参加しています。
 その他、JLCに出場したことで、県外での研修会や林業大学校などでチェーンソー技術の実演や指導を行なう機会も多くなりました。対象が林業従事者の方や各県の関係者、林業災害防止協会の関係者等、様々な方にお会いする機会もあります。まさか自分が人に教えるような立場になるとは思っていなかったです。
Q

「緑の雇用」研修生への指導の際に気を付けていることはありますか?

先ア
 青森県では研修が始まる前に県内の講師で集まって、事前の打合せを行なって教え方の統一をしています。講師が変わって教える内容が違うと研修生も戸惑うと思いますのでそこは注意しています。
Q

教える側の立場として、難しいと思うことや感じたことはありますか?

先ア
 自分は言葉で説明することが苦手で。実際にやって見せることは、そう難しくないのですが、それを教えるためには言葉にしないといけないので、その難しさを痛感しています。研修生も下は10代から上は自分よりも一回り以上も年上の人もいるのでそれぞれの人に合せて教える事も大変さを感じます。それと自分が理解してないと教えられないので、逆に自分が勉強になることがまだまだ多いです。なので、講師として声をかけていただける以上、これからも続けて行きたいと思います。

JLC出場は自分の人生に大きな影響を与えてくれた。


Q

先アさんにとってJLCはどのような大会ですか?

先ア
 少し大袈裟ですけれども自分の人生や仕事に大きく影響を与えてくれた大会だと思います。
 普段の仕事では、他の事業体や他県で林業をされている方と交流する機会が少ないので、出場していなかったら地元で現場作業をしていただけだったかもしれません。出場したことで全国各地で自分と同じ様な仕事をしている、あるいは同じ年代の人が集まって、交流や技術を学び合える貴重な経験になりました。
Q

WLCに出場しての感想を聞かせて ください。

先ア
 他国の選手ともコミュニケーションを取る機会があり、様々な刺激をもらってきました。一番感じたのは、特に上位に入賞するヨーロッパの選手たちは皆、チェーンソーマンであるということへの誇りを持って普段から仕事されているのだという事です。
 それとこれから世界大会で上位に入るには場慣れが大事なのだと思いました。上位に入ったある国の選手も「ここまで来るのに10回以上出場してやっとだ」と話していたことが印象に残っています。練習であれば、誰でも最高得点近くは取れると思います。ただ、本番でその力を発揮できるかにかかっているのだと思います。
 細かい話をすれば、日本からヨーロッパに移動するだけでもやはり慣れていないとそれだけで疲れも出てしまい、競技にも影響してきます。しかしそれも含めてすべて自分の実力の一つであると思います。何度も挑戦することで、大舞台でも自分の力を発揮できるような実力をつけることが重要で、多くの選手と切磋琢磨し、レベルを上げて行くことが一番であると思います。
Q

第3回大会へ向けて取り込む事や意気込みはありますか?

先ア
 普段の仕事に直結していることがJLCのポイントだと思います。なので、普段の仕事をしっかりと行なうことで、前回までの JLC でも力が発揮できたのだと思います。練習も必要ですが競技自体が現場の作業に直結しているので、普段の現場での作業一つひとつを丁寧に行なう事で、それが JLCでの競技につながっていると思います。
 第3回大会は、出場者も多くレベルも上がっていますが、3 位以内に入って、世界大会に出場できるように頑張りたいです。
Q

最後に林業に就こうと考えてらっしゃる方にメッセージをお願いします。

先ア
 林業はまだまだ危険できつく、給料が安いというイメージがあると思いますが、徐々に林業も変わりつつあります。安全性においてもJLC等を通して安全への意識も高まってきていますし、自ら工夫しながら一つひとつ仕事をしていけば、やった分だけ稼げる仕事でもあるのだと思っています。林業はやりがいがある仕事ですし、やってみるとそうしたイメージが変わると思います。
  ●先ア倫正(27歳/1991年生まれ)
愛用しているチェーンソー/ハスクバーナ 576XP
JLC の得意種目/伐倒
JLC の苦手種目/ソーチェン着脱
オフの時の過ごし方/チェーンソーの練習
好きな食べ物/寿司、お酒
(平日は翌日の仕事に響かないようビール。)
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第2回JLC大会で競技審判として参加した、フォレストマネージャ―でもある星野さん。そして、実父が林業の現場技能者として従事している桐生広域森林組合に、ハウスメーカーから転職した鈴木さん。お二方が、第3回JLC大会に挑戦するに至った林業や仕事に対する熱い思いを聞いた。

チェーンソーマンという仕事は奥が深く楽しい!

Q

林業に就かれたきっかけを教えてください。

星野
 20年程前までは、親戚が営んでいた林業関連の企業に勤めていましたが、平成8年に実施された林業作業士の研修(当時は「緑の雇用」事業開始前)に参加した際、桐生広域森林組合の現場作業班長から声をかけてもらい、平成9年から現場技能者として従事しはじめました。
鈴木
 父が桐生広域森林組合の現場技能者として長く従事していまして、子供の頃から組合の人とは親しくさせて頂いていまして、山で仕事に打ち込む現場技能者に対するあこがれみたいなものがありました。一度は一般の企業(ハウスメーカー)に入りましたが、やはり林業の仕事に就きたいという思いからそこを辞めて、「緑の雇用」の研修を経て従事するようになりました。
Q

現場での普段の仕事内容を教えてください。

星野
 主にチェーンソーでの伐倒やハーベスタ等の重機に乗っています。ただ、班長という立場上班員の育成や指導、安全管理、工程の計画と他の班や事務方との調整等も行なっています。特に安全管理は最重要テーマですので、リスクアセスメント等も含めて定期的に行なうようにしています。
鈴木
 私はチェーンソーでの伐倒作業が中心です。今は、火災による災害現場の後処理を行なっています。今は後輩がいますので、少しずつですが、現場の技術などを教えるようなこともしています。
Q

現場技能者としての面白み、やりがい等をお聞かせください。

星野
 何といっても伐倒作業だと思います。伐倒の仕方、倒す方向でその後の工程等も変わってしまう可能性があります。それをどのように考えて行うか、そして思い通りに伐倒できた時の達成感、これについては他のどの仕事でも感じることのできない感覚だと思います。それだけ責任のある仕事を任されているということにやりがいも感じます。うまくいかない時もありますが、その原因を見つけ出し修正していく、それを繰り返して自分のスキルを磨ける本当に楽しい仕事だと思います。 Q
鈴木
 やはり伐倒作業です。単純に大きな木を目指す方向に倒すという作業そのものに、何とも言えない快感を覚えます。これは伐倒を経験したことの無い方にはわからない感覚だと思います。よく林業はきつい仕事だと言われますが、伐倒作業から得られる達成感はそんな思いを一蹴してくれると思います。
Q

これまで現場で経験した危険なことは何ですか?

星野
 傾斜が30度以上ある現場での伐倒作業中に、足が滑って左足の親指がチェーンソーにあたってケガをしたことです。結構深い傷でした。自分では注意していたつもりでしたが、おそらく無理な体勢になっていたのだと思います。
鈴木
 幸いにしてまだ大きなケガはしていませんが、集材機のワイヤーが伐倒した木から外れて飛んできたことがありました。災害木の処理中のことで、木が枯れていて弱くなっていたのだと思います。それから退避エリアや距離、角度等にさらに注意をはらうようになりました。
 あと、別の作業員がチェーンソー作業をしていて、自分が近づいている事に気づかず、切られそうになりヒヤッとしたことがあります。仕事に集中するのは良いとは思いますが、やはり常に周りにも目を配ることも大切だと感じました。

「緑の雇用」の研修で自分の可能性・目標を見つける

Q

星野さんは「緑の雇用」のフォレストワーカーの指導もされていますが、気を付けていることはありますか?

星野
 まずは、何をおいても安全に対する意識付けが全ての基本です。これを無くして技術の習得はありません。林業に希望を抱いて入ってきた方にケガをさせてしまうことは絶対に避けなければなりませんので、どんな技術を教えるにしてもそこだけは外さないようにしています。もう一つ大切なことは、研修生としっかりコミュニケーションを図るということだと思っています。これができなければ相互の信頼関係が築かれません。いろいろな研修生がいますので難しくもありますが、自分なりに気を付けているポイントでもあります。また、研修生は他の組合や事業体で従事している方もいます。そうなると保有している機械や作業システム、伐倒方法等についての考え方が違ったりします。ただどんな条件においても、原理原則の部分は変わりませんので、そこはしっかりと身につけてもらえるよう努めています。
Q

鈴木さんはフォレストワーカーの研修を受けた側ですが、率直な感想を聞かせてください。

鈴木
 星野さんが講師の一人だから言うわけではありませんが、非常に勉強になったと思っています。体系立てられた3年間の研修は有意義なものだと思いますし、他の組合や事業体から参加している研修生と一緒に学び、意見交換できたことは大きな励みにもなりました。資格を取ることもできましたし、その3年間で学んだことは今の自分の基礎になっていると実感しています。
Q

現場作業における安全対策としてどのようなことをしていますか?

星野
 基本的なことではありますが、防護服・防護靴等の装備は安全性の高いものを着用しています。使用する機械のチェック(メンテナンス)も毎日行ないます。また現場においては、作業に入る前に注意すべき場所やポイント等を班員に伝え確認するようにし、1日の作業終了後には現場で気づいた点や、新たな危険因子等についてもあれば報告を受けるようにしています。当たり前のことですが、KY活動やリスクアセスメントも定期的に行なっています。
鈴木
 自分はチェーンソー作業が主ですので、メンテナンスは欠かさず行なうようにしています。後輩の中には切れの甘いチェーンソーをそのまま使っていることもあり危険なので、星野さんとも一緒に刃の目立て方などについての技術指導をするようにしています。

JLCは林業技能者の希望を拡げる!

Q

今回、第3回JLC大会に出場しようと思った動機と意気込みをお聞かせ下さい。

星野
 第2回目のJLC大会の競技審判を務めてみて、やはりこれは自分で出るしかない!と血を掻き立てられたというのが正直なところです。技能者として頂上を目指したいというのは皆同じではないでしょうか。もう一つ、これは審判を務めたからこそ分かったことかもしれませんが、大会で審査される技術の基本の全ては安全の確保だということ。競技で行うことは、必ずしも現場で使う技術と一致しませんが、どちらも安全が担保されていませんと結果はついてはきません。大会を通じて、安全に対する意識と技術の向上を図っていきたいと思います。また、出場するからには上位を目指します。結果を出すことで、組合や群馬県の同じ技能者にも希望や目標を持ってもらうことができたらうれしく思います。 Q
鈴木
 純粋に、今の自分の技量を試してみたいというのが本音です。先般、群馬県内でJLCに近い競技大会が開かれ、運が良かったのかもしれませんが3位に入賞できたということもあります。今は、仕事が終わってから星野さんと一緒に練習しています。是非とも星野さんを超えて、上位入賞を果たしたいと思います。
Q

最後に林業に就こうと考えている方にメッセージをお願いします。

星野
 安全を守ることを怠らなければ、これ以上面白い仕事は無いと思っています。現場作業はやらされ仕事だと思っている方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。自ら目標を掲げ、やり方を考え、工夫することで結果を導き出せる、自分の成長が実感できるやりがいのある仕事です。
鈴木
 自然の中で体を動かす仕事なので、正直ストレスは少ないと思います。仕事は17時頃には終わるので、その後の時間も趣味などに使えます。何より、木を倒す快感を是非体験してもらえたらと思います。
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第二回JLC大会出場経験のある塚本さんを筆頭に、事業体から3名もの出場者を排出し、チャレンジスピリット豊富な鳥取県東部森林組合。初出場の清水さんと栗田さんを交えて三者三様の林業とJLCにかける思いを語ってもらった。

無理なくケガ無く、格好良い林業を目指して!

Q

林業に就かれたきっかけを教えてください。

塚本
 林業に従事している友人に誘われたのがきっかけです。前職の土木業に比べて、難しい仕事だと思いましたが、造林して山がきれいになっていくのを目の当たりにすると、以前にない手応えや達成感が得られました。あとは当時趣味だったモトクロスで使用していたバイクが、今使っているチェーンソーと同じメーカーだったんです。同じエンジン音を持つチェーンソーの格好良さにも惹かれました。
清水
 前職では内装の仕事をしていましたが、林業に務めている先輩に誘われて転職しました。林業については正直殆ど知りませんでしたが、その分刺激的な毎日が過ごせるのでは、と思い飛び込んで来ました。
栗田
 元々私自身が山登りや自然が好きで、自然の中で働く林業を面白そうだと思ったからです。前職の栄養士は室内での仕事がメインでしたが、日が昇っている間に働いて、日が落ちたら休むという自然に合わせた林業の生活スタイルにも憧れていました。今の生活の形は自分の性にあっていると感じています。
Q

現場での普段の仕事内容を教えてください。

塚本
 朝現場に班で集合して、作業前のミーティングでその日の業務を確認していきます。各人の担当は固定せず、作業の進捗状況によって役割は変わります。ただ、重機の扱いについては基本的に決まっています。フォワーダでの集材に関しては栗田さんが、グラップルと2tダンプカーを使っての集材・搬出は清水さんが担当しています。自分は全体の指示と、間伐時にはハーベスタの操作を担当しています。
Q

現場技能者としての面白み、やりがい等をお聞かせください。

塚本
 安全管理とその指導については、班長としてやりがいがあると思っています。林業の現場では思いもよらない事態でケガをすることは少なくありませんが、それを減らせるよう考えながら作業をしています。班長の責任として危険を見極め、事前に班員に伝える必要があると思っています。
 例えば伐倒中に木が裂けることがあります。裂ける木かどうかの判断を磨くために先輩技能者の経験談を聞いたり、最近ではYouTubeの動画を見たりして情報を集め、実際に自分で木を伐倒してみるなど、木が裂けるか実験もしてきました。そうした危険を伝えるのは班長の責任ですし、班の現場技能者がそうした見極める力を持ち、安全に作業を行えるかどうかも班長にかかっていると思っています。
清水
 班で作業をしていくことにはやりがいがありますね。一年目は成果が出なかったことでも、皆と色々相談・改善して、成果が出ることを実感してきました。林業は自分たちの技術が向上するとそれが結果に反映される手応えがあり、そこが魅力だと感じています。
栗田
 伐倒作業が面白いですね。木を狙い通り倒せると、自分自身の技術の向上が感じられて満足感が得られます。あとは現場での休憩時になりますが、自然の中で一息入れた時には、本当に心地いいと感じることがありますね
Q

現場作業における安全対策としてどのようなことをしていますか?

塚本
 朝の現場でのミーティングの際にKY活動をしています。搬出間伐時には離ればなれになるので、トランシーバーを各員が携帯して連絡を取り合っています。防護ズボンや防護靴等の装備の徹底や、チェーンソーのメンテナンスもかかしません。間伐作業などは危険なので、山の中でもお互いすぐ判別できるように、蛍光色のシャツも着込んでいます。とにかく基本に忠実に漏れがないよう取り組んでいます。
Q

これまで現場で経験した危険なことは何ですか?

塚本
 「緑の雇用」の研修生時代ですが、枝払い中にチェーンソーの刃がパンツに噛んでしまったことがあります。幸いケガはなかったんですが、ヒヤリとしました。また、他の技能者がこちらに気付かず伐倒させようとして、後ろから私が木に狙われる形になってしまったこともあります。今は当然伐る時には横並びで行うよう、注意を払っています。
清水
 伐倒時に倒そうとした木とは別の木につるが絡まっていたのに気づかず、倒した際に一緒に引っ張られて自分の方に別の木が倒れてきたことがありました。ケガこそありませんでしたが、自身の確認不足だったと反省しています。あとは熱中症で倒れて、救急車に搬送されたことがあります。あまり体調が良くなかった状態で現場に出て、無理をしてしまいました。塚本班長に下山に同行してもらいましたが、班長まで熱中症になってしまい、自分以外にも迷惑をかける結果になって反省しています。
栗田
 枯れた木を伐倒する時、枝が折れて落ちてきたことがありました。予測していない時に自分の近くに落ちてきて、冷や汗が出ました。
 あとは塚本班長の話にもありましたが、木が裂けるおそれがある時には、常に班長に教えてもらっていました。お陰で今は自分でも裂けやすい樹種や危ない木がなんとなく分かるようになってきました。

安全の時代に変わっていく林業を皆に知ってもらいたい!

Q

今回、第3回JLC大会に出場しようと思った動機と意気込みをお聞かせ下さい。

塚本
 前大会出場については、当時自分が技能者の互助会会長を務めていたことから、組合の専務に「挑戦して来い!」と後押しして頂いたことがきっかけでした。元々私自身WLCの動画などは見ていて大会自体には憧れがあり、そう言われて覚悟が決まりました。
 ただその時は準備不足で、ルールを知ってから練習する時間がありませんでした。胸を借りるつもりで挑みましたが、まだまだ及びませんでした。そこから組合内でチームを結成し、今回の出場まで大勢の人に手助けしてもらってきました。第3回大会では10位以内に入賞して、その人達の期待に応えたいと思っています。
清水
 出場することになったのは、なりゆき的な面があります。前回の大会のあとでチームが出来て、私も出場するように言われて……。ただこれまで練習に打ち込んでこられたのは、競技を練習すること、それ自体が仕事の技術力・安全衛生面の向上にも繋がると思ったからです。自分自身の仕事や練習してきたことの成果を測る意味でも、JLCに挑みたいと思います。
栗田
 前大会を見に行って、その時の競技に挑む皆の様子を単純に「格好良い」と思ったのがきっかけですね。自分でもやってみたいと思っていたら、組合でチームが出来て参加できることになりました。その上で目標にしているのは、林業の格好良さを伝えることですね。林業は殆ど新卒で入る人がおらず、どんな仕事か知られていなかったり、きつい・危険といったマイナスなイメージがあったりで、第一志望にならない職種です。それを払拭して、もっと林業の格好良いところを知ってもらうことが必要だと思います。そのために私自身も大会に全力で取り組んで「格好良い」ところを見せられれば(笑)
Q

最後に林業に就こうと考えている方にメッセージをお願いします。

塚本
 三人を代表して私から。林業はしっかりと安全管理を行なえば危険な仕事ではなくなる、ということを伝えたいですね。私も他の事業体に指導をさせてもらっていますが、教科書やテキストだけでなく、自分たちの経験も合わせての指導を心がけています。「見て覚えろ」と言われて育った私達の世代のような苦労をさせないよう、自分たちの世代がターニングポイントになるように意識しています。
 何が危険か理解し必要な手順を踏めば、ケガや事故を起こすこともありません。これからの林業の安全度は益々高まっていくと思います。やることをちゃんとすれば、やりがいもある職業です。そこを知ってもらいたいですね。

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