林業に入ったきっかけは?

もともと東京出身で、大学も林業とは関係ない商学部。それが、Iターンで林業にいきなり飛び込み、気づいたら20年にもなります。育った場所も森などまったくないところなのですが、小さい頃から木や木の香りが好きで、何か木に関係した仕事に就きたいとは思っていました。田舎暮らしにもあこがれていましたね。林業については知らないことばかりだったのですが、「吉野杉」という名前は知っていました。ブランドですよね。そういうこともあって、奈良県の吉野林業地帯にある森林組合で働くことに決めました。

林業のやりがいは?

仕事の成果が目に見えるところにやりがいを感じます。20年も携わっているので、自分の植えた苗木が立派に成長し、森林になっているのを見ると感慨があります。もっとも、成長するのは木だけではありません。ロープを使って樹上で伐採を行う「特殊伐採」ができるようになったり、フォレストリーダーやマネージャー研修を受けたり、森林インストラクターの資格を取得したり、ブログで林業についての情報発信を行ったり…。私自身も林業に携わることで、大きく成長できたと思っています。

林業の厳しさって感じますか?

自然を相手にする仕事は素晴らしさもあると同時に厳しさもあります。夏の暑さと冬の手足の冷たさは、なかなか慣れませんね。また、作業に関しては、「ケガをしない」「ケガをさせない」ということに特に気をつけています。

趣味はチェーンソーアート?

森の木が密集しないよう、その一部を抜き伐りする間伐という作業があります。間伐した「吉野杉」をそのまま山に置きっぱなしにしてしまうのが、すごくもったいないなと仕事を始めた頃から思っていて、5年目くらいから間伐材をチェーンソーで彫刻するチェーンソーアートを始めました。本当に夢中になって作りました。最大で年間200作品近く作ったはずです。もちろん、仕事中にはできないから趣味ですよね。どんどん凝って、バーナーを使って焦がしたりとか。 こうした作品がとても好評なため、今では要請を受けて、小笠原諸島の母島に作りに行ったりしています。

林業に携わる人の暮らしぶりは?

現在、妻と長男、長女の四人家族で、黒滝村に住んでいます。村の人口は700名ほど。小学校と中学校が合併していて、そこに通う生徒の数は20名ぐらいです。小さな村ですから、本当に子どもを大切にしてくれる。学校の先生から村の人たちまで、みなさんそうです。実際に村からの支援も手厚くて、給食費や修学旅行、社会科見学なども全額補助されます。こども園や学童保育もあって、しかも、山道を歩いて学校へ通うなんてこともなくて、通学はすべてバス。都会の子より歩かないんじゃないかと運動不足を心配するくらいです。本当に恵まれた環境です。

林業を考えている人へメッセージを!

木は生きていて、森林には複雑で美しい生態系があります。こうした自然に囲まれて、その中で身体を動かして、汗をかき、ご飯を食べて、夜はしっかりと休む。森林で働くということは、とても贅沢な仕事だと思います。

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